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知るコレ!

一体感持ち考えを訴える 若者とデモ

香港の若者を応援する集会について取材を受けた元山仁士郎さん=5月24日、東京・永田町で

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 香港で「逃亡犯条例」の改正を巡り、今年6月から続く反政府デモ。声を上げる若者の姿は今も連日、報じられています。一方、日本の若者は政治や社会への関心がいまひとつといわれますが、実際はどうなのでしょうか。(福沢英里)

◇無意味でない 運動に意義ある

 デモとは「政治や社会に対する自分たちの考えを訴えるために、人がたくさん集まって勢いを示す行為」をいいます。連日、ニュースで報じられる香港の若者たちは、なぜデモに行くのでしょうか。

 「特定のリーダーや誰かが言ったからではなく、国の将来のため自分ならどうするか考え、対等な立場で参加していました」。ジャーナリストの今井一さんは混乱が続く香港で9月末、デモに加わる若者に取材した印象をこう説明します。

 若者たちは警察とぶつかり、死傷する人も出るほど事態は混迷しています。ただ、非暴力に徹する若者も少なくありません。興味深いのは、そもそも政治に関心がある若者だけが参加しているわけではないこと。5年前に民主的な普通選挙の実現を求めた学生による「雨傘運動」には興味のなかった人も集まっていました。

 内閣府が先進7カ国の13〜29歳の男女を対象に行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(2018年度)があります。自国の政治への関心度を尋ねた項目を見ると、「関心がある」は、日本が最下位で43.5%でした。

 とはいえ、行動する日本の若者もいます。沖縄県のアメリカ軍基地問題に関わり、「『辺野古』県民投票の会」元代表の大学院生、元山仁士郎さん(27)が初めてデモに参加したのは、13年の脱原発デモでした。その時は「若い人が来た」ともてはやされ、無理に先頭に立たされた居心地の悪さから「もう行きたくない」と思ったそうです。

 しかし、その後、自分たちの手でデモを企画するうちに「自分も思いを語りたい」と心境が変わり、今年2月には、沖縄の県民投票を実現させました。その前には、投票不参加の態度を示していた5つの市に実施を求め、水以外は口にしないハンガーストライキもやりました。

 「無意味とは思いません。やったことは歴史に刻まれます。過去に沖縄でハンガーストライキをやった先人がいたことを知り、自分が励まされました」と運動の意義を強調します。

◇音楽や踊りで 抗議の意思示す

 日本で学生デモが盛んだった1960年代と比べ、何が違うのでしょうか。「社会運動と若者」(ナカニシヤ出版)の著書がある立命館大の富永京子准教授は「今のデモは安全で、日常の延長にあることです」と説明。「社会運動を特別なことと捉えず、自分たちが普段聞いている音楽や読んでいる本など、好きな文化の影響を前面に押し出しています」と分析します。

 例えば、ハロウィーンを前にした週末だった先月26日。東京都渋谷区の路上を、音楽機材を積んだトラックの先導で練り歩く若者たちの姿がありました。

 声をそろえて同じフレーズを繰り返す「シュプレヒコール」や自分の主張を訴えるスピーチはありません。トラックの荷台に若者に人気のDJ(ディスクジョッキー)が陣取り、参加者はアップテンポな音楽に合わせ、体を揺らしたり、光るサイリウムを振ったり。長時間労働や人種、障害者差別などの社会問題に、踊って抗議の意思を示そうと企画されました。

 DJとして活動する傍ら、社会運動に関わり、今回も裏方として支えた東京都内の男性会社員(46)は「人と違ったことはしない方がいいという空気があるけれど、主体性を持って路上に飛び出してみると、世の中の見え方が変わるかもしれません」。

 中東レバノンでは今月、反政府デモでDJが路上に音楽を持ち込んだことが話題になりました。参加者の一体感が生まれ、平和的な抗議行動につながったと、通信社が動画ニュースとして報じるなど、音楽を使った「サウンドデモ」は海外でも見られます。

軽快な音楽に合わせ、繁華街を練り歩く若者たち=東京都渋谷区で・Toshimura)

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