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知るコレ!

地域振興につなげたい パンダ誘致

パンダ用に確保した場所を案内する金集園長=宮城県仙台市の八木山動物公園で

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中国から新たなジャイアントパンダがやってくるかもしれません。昨年10月、日本と中国の政府が、貸与に向けて協議を進めていくことで合意しました。愛らしい姿で見物客を引きつけるパンダの人気は折り紙付き。受け入れたい自治体が次々と名乗りを上げ、誘致合戦が巻き起こっています。(北村希)

 宮城県仙台市にある市立八木山動物公園の一角に、2000平方メートルほどの空き地があります。金集隆幸園長(54)が「いつでもパンダを受け入れられるように確保しています。設計図もできています」と教えてくれました。

 実は東日本大震災後の2011年冬、中国からパンダの貸与が決まりかけました。復興のシンボルとして期待が高まりましたが、領土問題を巡って日本と中国の関係が悪くなり、白紙になってしまいました。

 「今度こそ実現してほしい」と金集園長。中国で毎年開かれるパンダ研究の会議や、中国側の貸出窓口となる協会を繰り返し訪れ、アピールしています。

 パンダ獲得に乗り出しているのは、仙台市だけではありません。兵庫県神戸市も、市立王子動物園で飼育するパンダ1頭の貸与期限が来年7月に迫る中、誘致活動を続けています。

 昨年10月の合意を受けて、茨城県と同県日立市は今年2月に誘致を表明。人口が減りつつある地域の振興策に位置づけ、地元の企業などと連携して準備を進めています。

 秋田市も休止していた誘致活動を4月から再開。自然の中で飼育できる環境が強みで、市の担当者は「実現すれば年間の来園者が50万人増える」とみて、パンダ2頭を受け入れた場合の経済効果を約48億円と試算しています。

 誘致活動が実を結ぶかどうかは、中国との関係が大きく影響します。では、なぜ中国からパンダを借りているのでしょうか。

 野生のパンダは中国の高山帯に生息していますが、絶滅の恐れが生じたことから1984年、国際的な約束「ワシントン条約」に基づいて、パンダの売買や贈与はできなくなりました。このため中国は90年代、パンダを増やす繁殖研究の目的で海外に貸し出すようにしたのです。

 とはいえ、パンダを受け入れるのも簡単ではありません。上野動物園を運営する東京都によると、パンダを借りるのに「保護費」として毎年約1億円を中国側に支払っています。研究の設備や人員の確保、見物客への対応も必要です。

 名古屋市の東山動物園はパンダ誘致を検討していません。その理由を「園の面積が限られる中、動物の種類を絞っていく必要があるため」としています。

 外務省の担当者は「誘致が実現するかはまだ読めません。各自治体と中国側の交渉の末、中国側が貸与先を決めます。ただの『客寄せ』として借りることはできず、繁殖への協力がかぎになります」と話しています。

 人気者のパンダですが、実は生態が珍しい「珍獣」と呼ばれています。

 パンダは肉食性のクマ科ですが、タケやササばかり食べています。上野動物園によると、パンダは外敵や餌の競争から逃れ、中国の高山帯を生息地としたとされています。その場所で一年中、豊富に得られる食べ物がタケとササだったのです。ただ草食動物のように、植物から栄養を十分に取れる消化機能を持っていません。食べ続ける必要があることから、クマのように冬眠はしないと言われています。毎日、食べるか寝るかの生活なので、マイペースな印象を与えています。

 前足の骨も特殊です。タケをしっかりつかむために、5本の指とは別にこぶのような骨が2つ発達しています。クマと比べて体が軟らかいのも特徴。体を丸めて座ったり、寝そべって食べたりする姿はおなじみです。飼育展示課の鈴木仁さん(52)は「人に近い動きや体形が親近感を生んでいる」と人気の秘密を分析します。生態を知ると、一層愛らしく感じられますね。

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