トップ > 特集・連載 > 知るコレ! > 記事一覧 > 記事

ここから本文

知るコレ!

謎多い武将に新たな光 明智光秀

 来年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公に決まった明智光秀。どんなイメージを思い浮かべますか。歴史の教科書には、天下取りを目指す織田信長を討った「本能寺の変」を起こした家臣として登場しますが、生まれた場所などは今も謎に包まれています。各地に残る光秀の出生伝説や見直されている功績を紹介します。 (北島忠輔)

 光秀の生まれた年や場所について、確かな記録は残っていません。同じ時代に記された書物から、岐阜県東濃地方の土岐一族の出身であると考えられています。大河ドラマの放映が決まり、各地で「ここが光秀生誕の地だ」とPR合戦が盛んになってきました。

 岐阜県可児市には、江戸時代の地誌に、市内にあった明智城(長山城)が明智家代々の居城との記録があります。「明智荘」という荘園があり、「土岐の明智家出身なら可児が有利」と市の担当者は主張します。

 恵那市明智町も「生誕地として『光秀まつり』を47年も続けている」と負けていません。県指定史跡の「明知城跡」や産湯に使ったとされる井戸が残り、光秀の母「於牧の方」の墓所もあります。

 瑞浪市は美濃国の守護大名だった土岐氏の発祥地。ここにも産湯の井戸があったといわれています。山県市には、地元豪族の娘が光秀を産み、7歳で養子に出したとの伝承があります。

 大垣市には、地元にあったとみられる「多羅城」で、明智家から嫁いだ光秀の母が出産したとの言い伝えが残っています。

 岐阜県の五つの市に加え、滋賀県多賀町も名乗りを上げました。美濃国を追われた光秀の父が住み、光秀が生まれ育ったと読み取れる記述が江戸時代の別の地誌から見つかったためです。光秀の通称を取った「十兵衛屋敷」があったとされる場所には、木製の碑が建てられました。

 NHKの発表資料によると、ドラマでは光秀は「美濃の明智家」に生まれたと設定されています。戦国時代に詳しい小和田哲男・静岡大名誉教授は「光秀の生い立ちを記した文書は存在せず、もっとも謎が多い戦国武将。ドラマでどのように描かれるか楽しみです」と話しています。

 小和田さんは「歴史は勝った者の目線で書かれるもの。豊臣秀吉に敗れた『負け組』の光秀の人生にあらためて光が当たるのはうれしい」とも言います。

 裏切り者のイメージが強い光秀ですが、小和田さんは「室町幕府の最後の将軍となる足利義昭に織田信長を引き合わせたのは光秀だったと考えられます。2人の出会いが、その後の戦国時代を変えていったのです」と解説してくれました。

 信長に気に入られて出世した光秀は、都に近い丹波地方を治めました。福知山では税を減らしたり、治水工事をして水害から土地を守ったりして、住民から感謝されました。現在の京都府福知山市や兵庫県丹波市には、光秀を神として祭った神社があります。

 光秀をめぐる最大の謎は、本能寺の変を起こした理由です。信長に恨みがあったとする説、代わりに天下を取ろうとした説など、50に上る説がありますが、小和田さんは「私は信長の横暴を止めようとした『世直し』が理由だったと考えています」と話しています。

 「通説を疑い、掘り下げていくことが歴史のおもしろさ」と小和田さん。研究者の間で光秀の人柄や功績を見直す動きがあるそうです。大河ドラマの放映によって関心が高まり、新たな資料が出てくることが期待されています。

写真
 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索