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知るコレ!

市民活動への寄付 橋渡し

「恩返しに寄付をしたかった」と話す水谷潤平さん=名古屋市内で

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 くらしの中の課題の解決に、自分たちで取り組む市民活動。子どもの見守りからお年寄りのサポートまで問題は幅広く、行政だけできめ細かく対応するのが難しくなる中で、その役割が増しています。一方、活動には交通費などのお金がかかり、資金の調達に悩むことは少なくありません。活動と資金を結ぶ団体が注目されています。(諏訪慧)

 「周りに助けてもらった恩返しとして、社会に貢献したいと思っていました」。昨年、名古屋市中村区の「竹の子ボランティアサークル」に4万円を寄付した同区の団体職員、水谷潤平さん(26)は話します。

 サークルは地元の子ども会のイベント運営を手伝うほか、2カ月に1回、「八社ちいきの食卓わいわい食堂」を開催。食堂には子どもからお年寄りまでが訪れ、地域住民のつながりづくりに一役買っています。大人には500円以上の協力金をお願いしていますが、毎回赤字です。

 水谷さんとサークルを引き合わせたのは、一般財団法人「中部圏地域創造ファンド」(名古屋市)。2005年の愛・地球博(愛知万博)の収益13億円を原資に市民活動を支援してきた「あいちモリコロ基金」が解散し、基金に携わっていた人たちが昨年、立ち上げました。市民活動を資金面で支えたいという人に、考えに合った寄付先を紹介します。

 寄付は3種類=図参照。名前を付けられる「冠基金」、地震や貧困などテーマ別に活動団体に贈る「共感基金」、ファンドの運営に充てる「本財団応援基金」です。

 水谷さんは大学生のころに不登校になり、大学の先生らにじっくり話を聞いてもらって前向きになった経験があります。6年かけて卒業し、2年前から社会人として活躍。先生らへの感謝の思いを社会に還元したいと考えていたときに新聞でファンドを知り申し込みました。ボランティアに参加するには仕事が忙しく、寄付もどこにしたらいいのか分からなかったのです。

 冠基金は、寄付する人が寄付先を選べます。活動分野を指定し、ファンドに頼んで、その分野に詳しい大学教授らに選んでもらう方法もあります。意中の活動がなければ、見つかるまで寄付を先に延ばせます。

 こうした個人、企業と市民活動を橋渡しする団体は「コミュニティ財団」と呼ばれます。日本では1991年にできた大阪コミュニティ財団が初とされ、今は東京都や神奈川県など各地に広がっています。

 説明を聞いた水谷さんは「水谷潤平基金」と銘打った冠基金を設立。「子どもの育成に携わっている活動」と希望を伝え、寄付先としていくつか紹介された中から竹の子ボランティアサークルに決めました。しばらくして送られてきた活動報告書に目を通し、充実感を得たそうです。「思いに沿った活動を選んで寄付できるのが魅力」と話します。

 市民活動にお金を支援する動きは今年、加速します。銀行などの口座で10年以上お金の出し入れがない「休眠預金」を、市民活動費に充てる国の制度が始まるからです。

 この制度の司令塔、日本民間公益活動連携機構(東京)によると、どんな活動に休眠預金を委ねるかを「資金分配団体」が決めます。団体は今月から募集して9月に決定。全国に最大30置き、来年3月までには、各地の市民活動に休眠預金が配られる予定です。

 中部圏地域創造ファンドも立候補を予定してします。扱った寄付は4件とまだ少ないですが、前身のモリコロ基金に約1600件の活動にお金を助成した実績があり、東海地方でどのような市民活動があるかの情報を豊富に持っています。

 毎年700億円発生している休眠預金のうち、市民活動に用いられるのは30億円ほど。市民活動は自治体からの補助金などを頼ることが多く、休眠預金が活動の活性化につながるか注目されています。

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