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知るコレ!

もったいない 意識を

工場などから集(あつ)まったまだ食べられる食品(しょくひん)を仕分(しわ)けする山内大輔(やまうちだいすけ)さん=名古屋(なごや)市北区(きたく)で

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 家庭(かてい)で食べきれない肉や野菜(やさい)。賞味期限(しょうみきげん)が切れたスーパーやコンビニエンスストアの弁当(べんとう)。まだ食べられるのに捨(す)てられてしまう「食品(しょくひん)ロス」の合計は、国内で1年間に643万トンに上ります。すべての国民(こくみん)が毎日、茶わん1杯(いっぱい)のご飯(はん)を捨(す)てている計算になります。もったいないと思いませんか。私(わたし)たちができることを考えてみましょう。 (北島忠輔(きたじまただすけ))

捨てずに配る フードバンク

 名古屋(なごや)市北区(きたく)の「セカンドハーベスト名古屋(なごや)」には毎日、まだ食べられるにもかかわらず捨(す)てられる運命(うんめい)のさまざまな食品(しょくひん)が、工場や農家(のうか)から届(とど)きます。これらを仕分(しわ)けして福祉施設(ふくししせつ)などに届(とど)ける「フードバンク」と呼(よ)ばれる活動(かつどう)をしている団体(だんたい)です。その倉庫(そうこ)には、多めに作られた菓子(かし)パン、賞味期限(しょうみきげん)が近づいた缶詰(かんづめ)、スーパーなどの店頭で販売(はんばい)できない野菜(やさい)などが、ところ狭(せま)しと並(なら)んでいます。

 「これ、どうして販売(はんばい)できないか、わかりますか」。案内(あんない)してくれた理事長(りじちょう)の山内大輔(やまうちだいすけ)さんがカレーのレトルトパックを手に取(と)りました。「賞味期限(しょうみきげん)の印字(いんじ)が、少しだけずれているからです。中身(なかみ)は問題(もんだい)ありませんが、数字を読み間違(まちが)えるかもしれないため、箱(はこ)ごと廃棄処分(はいきしょぶん)になるんですよ」

 1年間に持(も)ち込(こ)まれる食品(しょくひん)は約(やく)450トン。活動(かつどう)を本格化(ほんかくか)させた10年前の24トンから20倍以上(ばいいじょう)に増(ふ)えました。金額(きんがく)にすると、2億(おく)7000万円分というから驚(おどろ)きです。これらの食品(しょくひん)をボランティアのスタッフが分類(ぶんるい)し、必要(ひつよう)としている人に届(とど)けます。

 山内(やまうち)さんは「日本にある約(やく)100団体(だんたい)のフードバンクで配(くば)るのは約(やく)3800トン。つまり、食品(しょくひん)ロスの99・9%は、そのまま捨(す)てられているのです。これを減(へ)らすには排出(はいしゅつ)を減(へ)らすしかありません」と話します。

ルール見直し 国会も法準備

 農林水産省(のうりんすいさんしょう)の資料(しりょう)によると、2016年度(ねんど)の食品(しょくひん)ロス643万トンの内訳(うちわけ)は、レストランの食べ残(のこ)しやコンビニの売れ残(のこ)りなどの「事業系(じぎょうけい)」が352万トン、食べきれなかった食品(しょくひん)などの「家庭系(かていけい)」が291万トンです。最近(さいきん)も、節分(せつぶん)に食べる恵方巻(えほうま)きの大量廃棄(たいりょうはいき)が問題(もんだい)になりました。

 国連機関(こくれんきかん)の統計(とうけい)では、世界(せかい)で9人に1人(約(やく)8億(おく)人)が栄養不足(えいようぶそく)の状態(じょうたい)。日本の食品(しょくひん)ロスは、そうした飢餓(きが)に苦(くる)しむ人々に向(む)けた食料援助量(しょくりょうえんじょりょう)の約(やく)2倍(ばい)に相当(そうとう)するそうです。

 このため、日本の国会は食品(しょくひん)ロス削減推進法(さくげんすいしんほう)を作る準備(じゅんび)をしています。食品(しょくひん)を作る会社、売る店、買う人のみんなに協力(きょうりょく)を求(もと)める内容(ないよう)です。

 すでに食品(しょくひん)会社やスーパーなどの小売業者(ぎょうしゃ)には、食品(しょくひん)ロスを増(ふ)やす原因(げんいん)になっているとして、「3分の1ルール」を見直す動(うご)きが出ています。

 このルールでは、たとえば賞味期限(しょうみきげん)が6カ月の食品(しょくひん)の場合、納入業者(のうにゅうぎょうしゃ)は作った日から賞味期限(しょうみきげん)までの3分の1にあたる2カ月以内(いない)に小売業者(ぎょうしゃ)に納品(のうひん)しなければなりません。遅(おく)れると返品(へんぴん)か廃棄処分(はいきしょぶん)です。小売業者(ぎょうしゃ)はお店に並(なら)べた後も、作った時から4カ月が過(す)ぎたら賞味期限内(しょうみきげんない)でも撤去(てっきょ)します。

 賞味期限(しょうみきげん)切れの商品(しょうひん)を売らないようにするためのルールですが、食べられるのに捨(す)てる食品(しょくひん)を減(へ)らそうと、考え直しているのです。

 私(わたし)たち消費者(しょうひしゃ)には、何ができるでしょうか。(1)買い物(もの)に行く前に冷蔵庫(れいぞうこ)を調(しら)べて買いすぎを防(ふせ)ぐ(2)食べられる分だけ料理(りょうり)して食べ残(のこ)しを減(へ)らす(3)賞味期限(しょうみきげん)が長い食品(しょくひん)をわざわざ選(えら)ばない(4)飲食店(いんしょくてん)で食べきれなかった分は持(も)ち帰る−など、方法(ほうほう)はいろいろあります。

 お店は売るチャンスを逃(のが)さないように、ある程度(ていど)は捨(す)てることになっても、棚(たな)に商品(しょうひん)をそろえます。この習慣(しゅうかん)は、いつでも欲(ほ)しい物(もの)を買いたいという私(わたし)たちの求(もと)めに応(おう)じて続(つづ)いてきました。食品(しょくひん)ロスを減(へ)らす1つの鍵(かぎ)は、私(わたし)たちの意識(いしき)を変(か)えることにもありそうです。

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