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知るコレ!

「温」と「冷」でリラックス サウナでととのう

 みなさんは、サウナに入ったことはありますか? 近年、幅広(はばひろ)い年齢(ねんれい)の人が楽しむ、おしゃれな活動(かつどう)になっているそうです。キーワードは「ととのう」という感覚(かんかく)。いったいどんな感覚(かんかく)で、子どもも「ととのう」ことはできるのでしょうか? (宮崎厚志(みやざきあつし))

 ここは琵琶湖(びわこ)。滋賀県大津(しがけんおおつ)市の雄松崎(おまつざき)という美(うつく)しいビーチに、テントが2つ並(なら)んでいます。煙突(えんとつ)があって煙(けむり)がもくもく。実(じつ)はこれ、サウナなんです。

 最初(さいしょ)は温度約(おんどやく)70度(ど)。まきストーブの上で熱(ねっ)された石に水をかけて蒸気(じょうき)を発生(はっせい)させる「ロウリュ」を行うと、温度(おんど)は約(やく)110度(ど)まで急上昇(きゅうじょうしょう)。「ビヒタ」というシラカバの葉(は)の束(たば)であおいで蒸気(じょうき)を全体(ぜんたい)に行き渡(わた)らせると、いい香(かお)りがして、体から玉のような汗(あせ)が噴(ふ)き出しました。

 十分に温(あたた)まったら、テントを出て湖(みずうみ)へ。冷水(れいすい)に体を浸(ひた)し、上がって外気を浴(あ)びながら休憩(きゅうけい)していると力が抜(ぬ)け、なんともいえない深(ふか)くリラックスした気持(きも)ちになります。これが「ととのう」という感覚(かんかく)です。

 「テントサウナパーティー」というこのイベントは、2016年に始(はじ)まり、サウナの人気を高めました。本場フィンランドのやり方を日本の自然(しぜん)の中で行うことがこだわり。主催者(しゅさいしゃ)の一人、藤山誠(ふじやままこと)さん(39)は「自然(しぜん)と一体化(いったいか)して、湖(みずうみ)の水平線(すいへいせん)のような精神状態(せいしんじょうたい)になりますね」と言います。

 子どもも参加(さんか)していました。京都(きょうと)市の桃辻(ももつじ)かやさん(12)は、「水に入るときが一番気持(きも)ち良(よ)くて、その後すごくととのいます。夢見心地(ゆめみごこち)で、体が軽(かる)くなります」。弟の唯心君(ゆいしんくん)(9つ)は「パカーンとなってホワーンとなる」と表現(ひょうげん)しました。

 科学的(かがくてき)にはどんな状態(じょうたい)なのでしょうか。温泉(おんせん)や入浴(にゅうよく)に詳(くわ)しい医学博士(いがくはかせ)で国際医療福祉(こくさいいりょうふくし)大病院(びょういん)の一石英一郎(いちいしえいいちろう)さん(53)は、ととのっていると感(かん)じる時の脳波(のうは)を計測(けいそく)。すると「リラックス時のアルファ波(は)、覚醒時(かくせいじ)のベータ波(は)、瞑想時(めいそうじ)のシータ波(は)が同時に上昇(じょうしょう)している不思議(ふしぎ)な波形(はけい)」を確認(かくにん)しました。さらに動物実験(どうぶつじっけん)で、セロトニンやオキシトシンという癒(い)やしや幸福感(こうふくかん)をもたらすホルモンが脳内(のうない)で分泌(ぶんぴつ)されることがわかりました。

 湯(ゆ)と水に代(か)わる代(が)わる漬(つ)かる温冷交代浴(おんれいこうたいよく)で血管(けっかん)がマッサージされ、疲労(ひろう)が回復(かいふく)することも知られています。

 昔(むかし)ながらの銭湯(せんとう)が減(へ)る一方、最近(さいきん)ロウリュを行うサウナ施設(しせつ)は増(ふ)え、約(やく)200軒(けん)あります。でも、ロウリュなしのサウナも含(ふく)め多くの温浴施設(おんよくしせつ)は小学生以下(いか)の利用(りよう)を制限(せいげん)しています。日本サウナ・スパ協会(きょうかい)によると、熱源(ねつげん)に触(ふ)れる危険(きけん)や脱水症状(だっすいしょうじょう)の防止(ぼうし)、マナーの問題(もんだい)などが理由(りゆう)だそうです。

 サウナが普及(ふきゅう)している北ヨーロッパでは、年齢制限(ねんれいせいげん)はなく、大人が乳幼児(にゅうようじ)を抱(だ)いて入ることもよくあるようです。それ以外(いがい)でも同協会(きょうかい)が参考(さんこう)にしているドイツでは、3歳(さい)から利用(りよう)してよいそうです。

 そこで、一石(いちいし)さんに、子どもも安全(あんぜん)にととのうことができるサウナの条件(じょうけん)を提案(ていあん)してもらいました。まず、選(えら)ぶのは湿度(しつど)が高く温度(おんど)は70度程度(どていど)までの蒸気式(じょうきしき)サウナ。5〜8分をめどに入った後、ぬるめのシャワーを30秒(びょう)ほど浴(あ)びます。我慢(がまん)はせず、最初(さいしょ)は1回だけにしておきます。「30度以上(どいじょう)の温度差(おんどさ)があればととのうでしょう」。子どもの様子(ようす)を冷静(れいせい)に観察(かんさつ)できる親ら大人が一緒(いっしょ)に入ることも重要(じゅうよう)です。

 日本のサウナの文化(ぶんか)を振(ふ)り返(かえ)ってみると、1964年の東京(とうきょう)オリンピックでフィンランド選手団(せんしゅだん)が組み立て式(しき)サウナを選手村(せんしゅむら)に持(も)ち込(こ)んだことが広がる一つのきっかけだったとか。さらに古くは、672年の壬申(じんしん)の乱(らん)で、天武天皇(てんむてんのう)が蒸(む)し風呂(ぶろ)で矢傷(やきず)を癒(い)やした伝説(でんせつ)もあります。オリンピックや皇室(こうしつ)にもゆかりのありそうなサウナ。心も体もととのえて、新しい時代(じだい)を迎(むか)えてみてはどうでしょうか。

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