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知るコレ!

順番が変でも意味分かる?! 文字を読む

「この文章(ぶんしょう)を読んでみてください」と呼(よ)び掛(か)ける高松(たかまつ)さん=名古屋(なごや)市中区(なかく)で

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 日常(にちじょう)の生活に欠(か)かせない文字の情報(じょうほう)。無意識(むいしき)に読んでいることが多いと思いますが、調(しら)べてみると、文字を一つずつばらばらにではなく、ある程度(ていど)のかたまりで捉(とら)えているといいます。そんな特性(とくせい)を巧(たく)みに生かし、注目(ちゅうもく)を集(あつ)めた広告(こうこく)も現(あらわ)れました。 (佐橋大(さはしひろし))

 「これを読んでみてください」。名古屋(なごや)市中区(なかく)で昨年末(さくねんまつ)に開(ひら)かれた、障害(しょうがい)のある人や子の支援(しえん)を考えるイベント。京都府(きょうとふ)のNPO法人(エヌピーオーほうじん)の理事長(りじちょう)、高松崇(たかまつたかし)さんは、スクリーンに映(うつ)し出された文章(ぶんしょう)を読むように参加者(さんかしゃ)に呼(よ)び掛(か)けました。一見すると、仮名(かな)文字だけで書かれた普通(ふつう)の文章(ぶんしょう)ですが、よく見ると文字の順番(じゅんばん)が変(へん)です。「このぶんょしうはいりぎすのケブンッリジだがいくの〜」と書かれています。でも、当てられた人は「この文章(ぶんしょう)はイギリスのケンブリッジ大学の〜」と、すらすら読み始(はじ)めました。

 文字の順番(じゅんばん)を入れ替(か)えているのに、何となく読めてしまうこの現象(げんしょう)。正式(せいしき)な言葉(ことば)ではありませんが、インターネット上では俗(ぞく)に「タイポグリセミア現象(げんしょう)」と呼(よ)ばれます。スペルの間違(まちが)いを表(あらわ)す英語(えいご)の俗語(ぞくご)「タイポ(typo)」をもじった言葉(ことば)です。

 昨年(さくねん)三月には、それを上手に使(つか)った広告(こうこく)を、富山県高岡(とやまけんたかおか)市に本店を置(お)く和菓子店(わがしてん)「中尾清月堂(なかおせいげつどう)」が打(う)ち、話題(わだい)になりました。

 広告(こうこく)は、看板商品(かんばんしょうひん)であるどら焼(や)き「清月(せいげつ)」の大幅(おおはば)リニューアルを知らせるもの。同社常務(じょうむ)の中尾真夢(なかおまなむ)さん(32)は「変(か)わっていないように見えても、実(じつ)は、時代(じだい)に合わせて、少しずつ微調整(びちょうせい)したことを面白(おもしろ)く伝(つた)えようと、広告(こうこく)デザイナーの羽田純(はねだじゅん)さんが考えてくれました」と話します。狙(ねら)いは当たり、普段(ふだん)どら焼(や)きを食べない人にも興味(きょうみ)を持(も)ってもらえたと言います。

 どうして読めてしまうのでしょうか? 「多くの人は、五〜七文字の先も見ながら、文字を読んでいるからです」と、大阪教育(おおさかきょういく)大の金森裕治特任教授(かなもりゆうじとくにんきょうじゅ)(特別支援教育(とくべつしえんきょういく))は説明(せつめい)します。金森特任教授(かなもりとくにんきょうじゅ)は、文字を読むのが苦手(にがて)な人の目の動(うご)きを研究(けんきゅう)しています。

 文字や文章(ぶんしょう)を読むことが苦手(にがて)でない人の目の動(うご)きを調(しら)べると、一文字一文字を追(お)うのではなく、五〜七文字先も見て、先を予測(よそく)しながら、単語(たんご)や文のまとまりごとに読んでいることが分かりました。それで、文章(ぶんしょう)をスムーズに読める半面(はんめん)、思い違(ちが)いも生じるのです。

 一方、金森特任教授(かなもりとくにんきょうじゅ)の研究(けんきゅう)で、文字を読むのが苦手(にがて)な人は、一つ一つの文字を読むのに時間がかかり、時には逆戻(ぎゃくもど)りして読んでいることが確認(かくにん)されました。その原因(げんいん)としては、脳(のう)の働(はたら)きで、文字が二重(じゅう)に見えたり、ゆがんで見えてしまったりして、文字を把握(はあく)しづらく、どこまでが一つの単語(たんご)かが分かりにくいことなどが考えられるといいます。文字を追(お)うのに精(せい)いっぱいで、意味(いみ)を理解(りかい)しにくいのです。

 文部科学省(もんぶかがくしょう)の二〇一二年の調査(ちょうさ)では、全国(ぜんこく)の公立小中学校の通常学級(つうじょうがっきゅう)に、知的(ちてき)に発達(はったつ)の遅(おく)れはないが、読み書きに著(いちじる)しい困難(こんなん)のある子が2・4%いました。

 読むのが苦手(にがて)な人のため、日本障害者(しょうがいしゃ)リハビリテーション協会(きょうかい)は、パソコンなどで児童書(じどうしょ)や教科書の文字の情報(じょうほう)を映(うつ)し出し、読み上げる声を再生(さいせい)しながら、読んでいる部分(ぶぶん)の色が変(か)わる「マルチメディアデイジー図書」「マルチメディアデイジー教科書」を作っています。音と、色の変化(へんか)で読む箇所(かしょ)に自然(しぜん)に目線が行き、読む負担(ふたん)が減(へ)ります。マルチメディアデイジー図書は、一部(いちぶ)の図書館(としょかん)にあり、借(か)りられます。小中学校の教科書は、ほとんどマルチメディアデイジー化(か)されていて、読むのが苦手(にがて)な児童(じどう)、生徒(せいと)は協会(きょうかい)に申請(しんせい)すれば、無料(むりょう)で手に入れられます。

(下)マルチメディアデイジー図書(下のCD(シーディー))に収(おさ)められ、パソコンで再生(さいせい)する児童書(じどうしょ)の文字情報(じょうほう)=名古屋(なごや)市中区(なかく)の愛知県図書館(あいちけんとしょかん)で

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