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知るコレ!

「世界への窓」開こう 子どもと映画

「とよた★こども映画(えいが)教室2018」で、真剣(しんけん)な表情(ひょうじょう)でカメラを回す子どもたち=愛知県豊田(あいちけんとよた)市で(こども映画教室提供(ていきょう))

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 さまざまな時代(じだい)や国を舞台(ぶたい)にしていることから、「世界(せかい)に開(ひら)かれた窓(まど)」とも表現(ひょうげん)される映画(えいが)。その魅力(みりょく)を子どもたちに知ってもらおうと、上映会や作品作(さくひんづく)りのワークショップを開く大人たちがいます。映画という文化(ぶんか)を次(つぎ)の世代へ引き継(つ)ぐ土壌(どじょう)づくり。みなさんも映画館(かん)に出掛(でか)けてみませんか。 (大沢悠(おおさわはるか))

親子で鑑賞し文化楽しむ

 表情豊(ひょうじょうゆた)かなウサギとライオンがスクリーンの中を動(うご)き回ります。先月下旬(げじゅん)、東京都内(とうきょうとない)の図書館(としょかん)で開(ひら)かれたワークショップ「映画(えいが)で世界一周(せかいいっしゅう)! ブルガリア編(へん)」で、一九六〇〜八〇年代(ねんだい)のブルガリアの短編(たんぺん)アニメ作品(さくひん)六本が上映されました。日本の劇場(げきじょう)では未公開(みこうかい)の珍(めずら)しい作品です。

 ワークショップを開いたのは、有志(ゆうし)の団体(だんたい)「ちいさなひとのえいががっこう」(ちいがく)です。映画会社に勤(つと)める岡崎匡(おかざきただし)さん(41)と妻(つま)の佳代(かよ)さん(39)が中心になり、親子を対象(たいしょう)に二〇〇五年から都内で活動(かつどう)を続(つづ)けます。

 「映画で世界一周!」は、世界各地(かくち)の作品を鑑賞(かんしょう)する企画(きかく)です。鑑賞後は、その国にゆかりのある人から、言葉(ことば)を習(なら)ったり、話を聞いたりします。これまでにフランスやドイツなど三十以上(いじょう)の国と地域(ちいき)の作品が紹介(しょうかい)されました。イラン編では「駆(か)ける少年」のアミール・ナデリ監督(かんとく)を迎(むか)え、子どもたちが質問(しつもん)を投(な)げかけました。中国(ちゅうごく)編では、中国拳法(けんぽう)の先生から拳法を習ったことも。参加者(さんかしゃ)は受(う)け付(つ)けで、「パスポート」に「入国スタンプ」を押(お)してもらうことも楽しみの一つです。

 「映画鑑賞プラスアルファの体験(たいけん)をしてもらうことで、その映画の思い出が強くなる。『映画って楽しい』と知ってもらえたら」と岡崎さんは話します。

次世代のファンを育てる

 全国(ぜんこく)の映画館(えいがかん)や美術館(びじゅつかん)などでつくる「コミュニティシネマセンター」(東京都(とうきょうと))が作製(さくせい)した「映画上映活動年鑑(かつどうねんかん)2017」によると、二〇一六年の国民(こくみん)一人当たりの映画館での年間鑑賞(かんしょう)本数は一・四本。映画文化(ぶんか)が根付(ねづ)いているフランスや韓国(かんこく)、イギリス、ドイツ、スウェーデンなどの九カ国(アメリカとカナダは合計)の中で最下位(さいかい)でした。最多は韓国の四・三本。アメリカ・カナダとオーストラリアの三・八本が続(つづ)きます。

 映画館で鑑賞する魅力(みりょく)を伝(つた)えようと、日本で唯一(ゆいいつ)の国立の映画専門機関(せんもんきかん)「国立映画アーカイブ」は〇二年から、小中学生を対象(たいしょう)に「こども映画館」を開(ひら)いています。大きなスクリーンで、その場にいる人たちと一緒(いっしょ)に一つの作品(さくひん)を見て、喜(よろこ)びや悲(かな)しみを共有(きょうゆう)する、映画館ならではの体験(たいけん)をしてもらうことが狙(ねら)いです。

 映画館へ足を運(はこ)ぶことは、そうした体験はもちろんですが、上映している映画館や作品自体を守(まも)ることにもつながります。

 小中学生が自分たちで映画を作るワークショップなどを手掛(てが)ける一般社団法人(いっぱんしゃだんほうじん)「こども映画教室」(東京都)の理事長(りじちょう)、土肥悦子(どひえつこ)さんはこう話します。「もうかる、もうからないだけで映画館が作品を上映すると、収益(しゅうえき)は少ないけれど意義(いぎ)のある映画が作られなくなってしまう」。収益に関係(かんけい)なく、さまざまな作品が作られ、映画館で上映され、それを見る「映画ファン」がいることで映画文化の多様性(たようせい)は保(たも)たれます。

 こども映画教室の活動は、次世代(じせだい)の映画ファンを育(そだ)てる試(こころ)みでもあります。これまでに全国各地(かくち)で八十回以上(いじょう)が開かれました。昨年(さくねん)二月には愛知県豊田(あいちけんとよた)市などが主催(しゅさい)し、同社団法人が企画協力(きかくきょうりょく)し「とよた★こども映画教室2018」を開催(かいさい)。市内に住(す)む小学生がカメラを回し、映像(えいぞう)を編集(へんしゅう)して作品に仕上(しあ)げました。「映画は人間にとって必要(ひつよう)な芸術(げいじゅつ)の一つ。まずは映画を好(す)きになってもらいたい」と土肥さんは期待(きたい)します。

「映画(えいが)で世界一周(せかいいっしゅう)!」のワークショップの受(う)け付(つ)けで、「入国スタンプ」を押(お)すパスポート。スタンプは手作り=東京都葛飾区(とうきょうとかつしかく)で

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