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知るコレ!

イメージ変え観光資源に 工場夜景

岡山(おかやま)・倉敷(くらしき) 水島(みずしま)コンビナートの壮大(そうだい)さ、見応(みごた)えは日本屈指(くっし)

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 寒(さむ)さとともに空気が澄(す)んでくるこの季節(きせつ)、身近(みぢか)な場所(ばしょ)にある絶景(ぜっけい)が輝(かがや)きを増(ま)してきます。それが工場の明かりがつくる景観(けいかん)、工場夜景です。10月に千葉(ちば)市で「全国(ぜんこく)工場夜景サミット」が開催(かいさい)されるなど、今や地域(ちいき)の重要(じゅうよう)な観光資源(しげん)に成長(せいちょう)。専門家(せんもんか)に撮影(さつえい)のこつも聞きました。 (宮崎厚志(みやざきあつし))

 無機質(むきしつ)な鉄塔(てっとう)や配管(はいかん)が日暮(ひぐ)れとともに無数(むすう)のライトに照(て)らされると、昼間と違(ちが)う姿(すがた)となって浮(う)かび上がります。高速道路(こうそくどうろ)上や船、タワー、山の上からなど、工場夜景(やけい)の観賞(かんしょう)スポットはさまざま。隠(かく)れた絶景(ぜっけい)が今、人々を魅了(みりょう)しています。

 全国(ぜんこく)の工場夜景自慢(じまん)の都市(とし)の市長らがほぼ毎年集(あつ)まる一大イベントが、工場夜景サミットです。2011年に4都市で初開催(はつかいさい)されてから徐々(じょじょ)に参加(さんか)都市が増(ふ)え、今年は10月に千葉(ちば)市で第(だい)9回が開(ひら)かれました。集まったのは、地元千葉県(けん)の千葉市と市原(いちはら)市のほか、北海道室蘭(ほっかいどうむろらん)市、神奈川(かながわ)県川崎(かわさき)市、静岡(しずおか)県富士(ふじ)市、三重(みえ)県四日市(よっかいち)市、大阪府高石(おおさかふたかいし)市、同堺(さかい)市、兵庫(ひょうご)県尼崎(あまがさき)市、山口(やまぐち)県周南(しゅうなん)市、福岡(ふくおか)県北九州(きたきゅうしゅう)市の全国11都市です。

 千葉市の熊谷俊人(くまがいとしひと)市長は「この10年で大きく変(か)わり、『工場萌(も)え』という言葉(ことば)も出てくるほどになった。感慨深(かんがいぶか)い」と講演(こうえん)しました。高度成長期(こうどせいちょうき)、工場や車から排出(はいしゅつ)される汚染物質(おせんぶっしつ)は公害(こうがい)を引き起(お)こし、多くの患者(かんじゃ)らを苦(くる)しめました。その後、窒素酸化物(ちっそさんかぶつ)(NOx(ノックス))などの環境基準(かんきょうきじゅん)が強化(きょうか)されましたが、微小粒子状(びしょうりゅうしじょう)物質PM(ピーエム)2・5などの新たな問題(もんだい)も出ています。地域(ちいき)の工場の存続(そんぞく)を考える自治体(じちたい)にとって、工場に関心(かんしん)が集まる意味(いみ)は大きいのです。

 参加した富士市の職員(しょくいん)は「私事(わたくしごと)ながら…」と富士山と工場夜景が重(かさ)なるとっておきのスポットで意中(いちゅう)の女性(じょせい)に告白(こくはく)し、成功(せいこう)したと紹介(しょうかい)。四日市市は「コンビナート夜景クルーズ」をきっかけに、11年4月に観光に関する部署(ぶしょ)が新設(しんせつ)されるなど市のイメージを大きく変えた実績(じっせき)を発表(はっぴょう)しました。

 千葉市では2年前に旅客船(りょかくせん)用の桟橋(さんばし)を整備(せいび)。工場夜景クルーズは常(つね)に満席(まんせき)という人気ぶりです。

 地元企業(きぎょう)の認知(にんち)度の向上(こうじょう)や雇用(こよう)の改善(かいぜん)にもつながるといいます。同市ではJFE(ジェイエフイー)スチールの工場が年間約(やく)3万人の見学者(けんがくしゃ)を受(う)け入れており、工業(こうぎょう)高校への志願(しがん)者も増えているそうです。

 工場夜景(やけい)を撮影(さつえい)するこつを、国内外で高い評価(ひょうか)を受(う)けている工場夜景写真家(しゃしんか)・小林哲朗(こばやしてつろう)さん(39)に教わりました=表(ひょう)。注意点(ちゅういてん)として、夜に人けのない所(ところ)に行くので子どもや女性(じょせい)だけでの行動(こうどう)は避(さ)けること、港(みなと)や工場の立ち入り禁止区域(きんしくいき)に誤(あやま)って進入(しんにゅう)しないようにすることを挙(あ)げます。

 下調(したしら)べも肝心(かんじん)です。インターネットや各地(かくち)の観光協会(かんこうきょうかい)に問(と)い合わせ、バスツアーや夜景クルーズ船などを利用(りよう)するのが確実(かくじつ)です。小林さんに、そうした観点からもお薦(すす)めの3カ所(しょ)を挙げてもらいました=写真は小林さん撮影。

 「全国(ぜんこく)にはまだまだ穴場(あなば)があり、工場によってライトの色味(いろみ)が違(ちが)うなど奥(おく)の深(ふか)さも魅力(みりょく)。何より日常(にちじょう)生活のすぐそばにSF的(エスエフてき)な世界(せかい)が広がっていて楽しい」。そう話す小林さんは、7月に7冊目(さつめ)の写真集(しゅう)を刊行(かんこう)し、「最初(さいしょ)ははやらなかったが徐々(じょじょ)にブームが広がり、写真ジャンルの一つとして定着(ていちゃく)した」と実感(じっかん)しています。現在(げんざい)はドローンを駆使(くし)して上空からの撮影を行うなど、独自(どくじ)の世界観で見る人を魅了(みりょう)しています。

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