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知るコレ!

「生」「不活化」効果に差 予防接種のワクチン

 大人の男性(だんせい)を中心に感染(かんせん)が広がっている風疹(ふうしん)。感染がこれ以上(いじょう)、広がるのを防(ふせ)ぐ手段(しゅだん)として予防接種(よぼうせっしゅ)に注目(ちゅうもく)が集(あつ)まっています。また、冬のインフルエンザの流行期(りゅうこうき)を前に、医療機関(いりょうきかん)では、今シーズンの予防接種が始(はじ)まっています。ところで、予防接種によって、効果(こうか)の大きさや、効果の続(つづ)く期間(きかん)に差(さ)が出るのは、どうしてなのでしょうか? (佐橋大(さはしひろし))

国立感染症研究所(かんせんしょうけんきゅうじょ)が作っているポスター=東京都新宿区(とうきょうとしんじゅくく)で

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 国立感染症研究所(かんせんしょうけんきゅうじょ)(感染研)に一月から報告(ほうこく)された全国(ぜんこく)の風疹患者数(ふうしんかんじゃすう)は千人を超(こ)え、増(ふ)え続(つづ)けています。患者の八割以上(わりいじょう)は男性(だんせい)で、その半数以上は四十歳(さい)以上。この年代(ねんだい)の男性は、風疹の予防接種(よぼうせっしゅ)を一度(ど)も受(う)けていない人がほとんど。風疹の免疫(めんえき)を持(も)っていない人が多く、周囲(しゅうい)に感染を広げる存在(そんざい)になりやすいのです。

 免疫は、体に入ったウイルスや細菌(さいきん)などの異物(いぶつ)を攻撃(こうげき)し、排除(はいじょ)する仕組(しく)みです。異物の特徴(とくちょう)は記憶(きおく)され、再(ふたた)び入ってきたら、すぐに攻撃できるようになります。免疫がよく働(はたら)くように、処理(しょり)した病原体(びょうげんたい)(ワクチン)を体に入れるのが予防接種です。

 風疹の予防接種は、子どものころに受ける制度(せいど)が徐々(じょじょ)に整(ととの)えられ、十二年前から小学校に入る前に全員(ぜんいん)が二回受けるようになりました。子どものころに受けて免疫を付(つ)けると、大人になるまで長続きするのです。なぜでしょうか。主(おも)な理由(りゆう)は、風疹のワクチンが生ワクチンだからです。

 ワクチンは大きく生ワクチンと不活化(ふかつか)ワクチンに分けられます。生ワクチンは、力を弱めたウイルスや細菌を材料(ざいりょう)にして作ります。予防接種を受けるとウイルスや細菌はいったん体の中で増え、それに対応(たいおう)する免疫が付くのです。不活化ワクチンは死(し)んだウイルスや細菌を用いるので、効果(こうか)が長続きしません。ただ、免疫の付き方には個人差(こじんさ)があり、二十人に一人は一回の接種では免疫が付きません。二回の接種でほぼ全員に免疫が付きます。

 風疹は、妊娠中(にんしんちゅう)の女性が感染すると、おなかの中の赤ちゃんに難聴(なんちょう)や心臓(しんぞう)の病気などの異常(いじょう)が生じる可能性(かのうせい)があり、流行(りゅうこう)の影響(えいきょう)が心配(しんぱい)されています。感染研感染症疫学(えきがく)センターの多屋馨子(たやけいこ)室長は「社会全体で免疫を高め、流行させない環境(かんきょう)づくりが大事(だいじ)です」と話します。

 不活化(ふかつか)ワクチンの予防接種(よぼうせっしゅ)は、効果(こうか)が続(つづ)く期間(きかん)がさまざまです。不活化ワクチンは、細菌(さいきん)やウイルスをバラバラにするなどして、感染(かんせん)する力をなくして(不活化して)作ります。細菌やウイルスは死(し)んでいるので、生ワクチンより免疫(めんえき)の持続(じぞく)期間は短(みじか)く、一般的(いっぱんてき)に何度(なんど)も接種が必要(ひつよう)になるのです。

 例(たと)えば細菌がのどに感染し、激(はげ)しいせきを引き起(お)こす病気(びょうき)、百日せきの場合、〇〜一歳(さい)に四回、予防接種をします。効果が続くのは四〜十二年程度(ていど)とされています。最近(さいきん)は、かかりにくい期間を延(の)ばすため、小学校入学前後に追加(ついか)の予防接種を勧(すす)める医師(いし)もいます。

 インフルエンザのワクチンも不活化ワクチンです。約(やく)五カ月間効(き)くとされ、流行(りゅうこう)しそうな四種類(しゅるい)のウイルスを基(もと)に作られます。

 ただ、インフルエンザのウイルスは、安定(あんてい)した風疹(ふうしん)のウイルスと違(ちが)い、頻繁(ひんぱん)に形や性質(せいしつ)を変(か)えるのが特徴(とくちょう)。その変異(へんい)が大きいほど、免疫をすり抜(ぬ)けやすくなり、ワクチンの効き目が落(お)ちます。ワクチンの原料(げんりょう)のウイルスと流行するウイルスのずれが小さくなるよう国は、世界中(せかいじゅう)のデータを基に毎年、原料になるウイルスの種類を決(き)めています。

 一昨年(いっさくねん)九月〜昨年二月のヨーロッパでの複数(ふくすう)の調査(ちょうさ)では、インフルエンザのワクチンの有効性(ゆうこうせい)は25〜52%でした。例えば有効性が30%とは、医者(いしゃ)にかかるほどに症状(しょうじょう)がひどくなるのを三割(わり)程度防(ふせ)いだということ。この数字は年や地域(ちいき)によって変わります。

 感染研(かんせんけん)のインフルエンザウイルス研究(けんきゅう)センターの小田切孝人(おだぎりたかと)センター長は「インフルエンザのワクチンには、感染を完全(かんぜん)に防ぐ効果はありませんが、ある程度、発病(はつびょう)や症状が重(おも)くなるのを防ぎます」と話します。

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