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知るコレ!

世界161位後れ取る日本 女性と政治

 「女性活躍(じょせいかつやく)」の看板(かんばん)を掲(かか)げてきた安倍政権(あべせいけん)で、今月2日に発足(ほっそく)した第(だい)四次改造内閣(じかいぞうないかく)は、女性大臣(だいじん)がたった一人とニュースになりました。海外では、生後3カ月の長女を抱(だ)っこして、国連総会(こくれんそうかい)に臨(のぞ)んだニュージーランドの女性首相(しゅしょう)が話題(わだい)です。なぜ日本は男性中心の政治(せいじ)を続(つづ)けているのか、その理由(りゆう)を調(しら)べてみました。 (福沢英里(ふくざわえり))

(上)記念撮影(きねんさつえい)に応(おう)じる第(だい)4次安倍改造内閣(じあべかいぞうないかく)の閣僚(かくりょう)ら=首相官邸(しゅしょうかんてい)で (下)昨年(さくねん)7月発足(ほっそく)時のスウェーデン内閣。華(はな)やかな服装(ふくそう)の女性(じょせい)が目立つ=スウェーデンのストックホルムで(スウェーデン大使館提供(たいしかんていきょう))

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 写真(しゃしん)を見比(みくら)べてみてください。日本の内閣(ないかく)は男性(だんせい)がずらり。一方、スウェーデンの内閣はほぼ男女半々。世界各国(せかいかっこく)の議会(ぎかい)でつくる列国(れっこく)議会同盟(どうめい)によると、女性の社会進出(しんしゅつ)が進(すす)むスウェーデンは、国会議員(ぎいん)に占(し)める女性の割合(わりあい)が43.6%で第(だい)9位(い)=グラフ。わずか1割程度(ていど)の日本は161位と後れを取(と)っています。

 なぜ政治(せいじ)の世界に女性が少ないのでしょう。お茶(ちゃ)の水女子(みずじょし)大の申(しん)キヨン准教授(じゅんきょうじゅ)(比較(ひかく)政治学・ジェンダー論(ろん))は理由(りゆう)を3つ挙(あ)げます。

 まず女性が育(そだ)つ環境(かんきょう)です。「家庭(かてい)や社会で『女性は出過(です)ぎてはいけない』とプレッシャーを受(う)けている」。だから、何かの代表(だいひょう)に選(えら)ばれても「私(わたし)なんかでいいの?」と謙遜(けんそん)してしまう。逆(ぎゃく)に父親らに励(はげ)まされて成長(せいちょう)すると自信(じしん)がつきます。

 2つ目は、若(わか)いころに学校や職場(しょくば)で「女性だからという理由で自分の言葉(ことば)が軽視(けいし)されている」と感(かん)じる体験(たいけん)。物事(ものごと)に挑戦(ちょうせん)する意欲(いよく)も生まれず、政治家に必要(ひつよう)な経験の積(つ)み重(かさ)ねができません。3つ目は政党側(せいとうがわ)の問題(もんだい)です。「女性に票集(ひょうあつ)めの役割(やくわり)しか期待(きたい)してきませんでした」。女性議員がのびのびと力を発揮(はっき)する場を用意できなかったのです。

 それでもようやく、女性の政治参加(さんか)を促(うなが)す機運(きうん)が生まれています。5月に法律(ほうりつ)ができ、罰則(ばっそく)はないものの、選挙(せんきょ)で政党の候補者数(こうほしゃすう)をできる限(かぎ)り男女均等(きんとう)にするよう目標(もくひょう)を定(さだ)めることを求(もと)めました。国際的(こくさいてき)な調査(ちょうさ)によれば、日本のように女性議員が1割程度では男性の好(この)みで女性が政治家に選ばれがち。3割以上(いじょう)で初めて女性同士(どうし)が協力(きょうりょく)できます。申准教授は「女性が増(ふ)えるほど教育(きょういく)や福祉(ふくし)の予算(よさん)が増え、軍事関連(ぐんじかんれん)の予算が減(へ)るなど政治全体(ぜんたい)が平和(へいわ)的に変(か)わります」と説明(せつめい)します。

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 実際(じっさい)、女性議員の比率(ひりつ)が53.8%と全国トップの神奈川県葉山(かながわけんはやま)町議会では、子育てや福祉の政策(せいさく)が前進。当選8回の横山(よこやま)すみ子議員(無所属(むしょぞく))は「ごみの分別(ぶんべつ)や保育所(ほいくしょ)、福祉施設(しせつ)の充実(じゅうじつ)など、男性議員は見落(みお)としがちな問題を取り上げてきました」と言い、葉山町へ引っ越(こ)す子育て世帯(せたい)も増えて手応(てごた)えを感じています。「男女関係(かんけい)なく一議員として、得意(とくい)分野を持(も)って町政に貢献(こうけん)できています」

 国会議員(ぎいん)に占(し)める女性(じょせい)の割合(わりあい)が6割を超(こ)える、世界(せかい)トップの国はアフリカ中部(ちゅうぶ)のルワンダです。1994年にあった民族(みんぞく)間の紛争(ふんそう)で、3カ月間に約(やく)80万人が命(いのち)を落(お)とし、多くの男性も犠牲(ぎせい)に。残(のこ)された女性たちが要職(ようしょく)を担(にな)いました。あらゆる意思決定機関(いしけっていきかん)に女性を30%以上置(いじょうお)く「クオータ(割(わ)り当て)制(せい)」を憲法(けんぽう)に明記したのが2003年。どんな女性たちでしょうか。

 ルワンダの女性の手工芸品(しゅこうげいひん)、バスケットを輸入販売(ゆにゅうはんばい)する「ベイジー」(名古屋(なごや)市)代表(だいひょう)、吉井由美子(よしいゆみこ)さんは「男性に勝(まさ)ろうというより、一人の人間として心豊(こころゆた)かに人生を送(おく)りたいという気持(きも)ちが強い」と説明(せつめい)します。カラフルな装(よそお)いに、髪(かみ)をきちっと整(ととの)えた姿(すがた)が印象的(いんしょうてき)。紛争で夫(おっと)を亡(な)くし家族(かぞく)は女性だけという人もいて、世帯(せたい)を背負(せお)う必死(ひっし)さと力強さが際立(きわだ)ちます。

 バスケットを丁寧(ていねい)に編(あ)み、時に子どもをあやしながら、品質(ひんしつ)にこだわる日本向(む)け商品(しょうひん)を作れるよう努力(どりょく)を惜(お)しみません。向上心(こうじょうしん)を忘(わす)れず、子育(こそだ)ても仕事(しごと)もと頑張(がんば)る姿は、現代(げんだい)の日本女性にも通じますね。

 

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