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知るコレ!

地図見てポイント巡る ロゲイニング

家族(かぞく)でロゲイニング大会に参加(さんか)している小高義也(おだかよしなり)さん一家=愛知県南知多(あいちけんみなみちた)町で(小高さん提供(ていきょう))

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 地図とコンパスを頼(たよ)りに複数(ふくすう)のチェックポイントを巡(めぐ)りながらゴールをめざす競技(きょうぎ)、ナビゲーションスポーツ。日本では野外学習(がくしゅう)などで行われるオリエンテーリングが知られていますが、近年急速(きゅうそく)に広まっているのが、ロゲイニングです。実(じつ)は日本各地(かくち)での年間大会数は100以上(いじょう)。人気の秘密(ひみつ)を探(さぐ)りました。 (宮崎厚志(みやざきあつし))

 「地図に書いていない近道を見つけて、ポイントを取(と)りに行くところが楽しい」。そう話すのはロゲイニング歴(れき)6年という愛知県阿久比(あいちけんあぐい)町の小学5年生、小高胡春(おだかこはる)さん。大会のファミリーの部(ぶ)などに父親の義也(よしなり)さん(39)と組んで出場し、制限内(せいげんない)の5時間で35キロも走ることも。小学2年の妹、七菜(なな)さんは母親の綾(あや)さん(38)と組み、4時間で20キロ走ります。もともとランニング好(ず)きの一家でしたが、大会参加(さんか)は家族(かぞく)の会話が弾(はず)むロゲイニングが中心です。

 1976年にオーストラリアで発祥(はっしょう)したロゲイニングは、1チーム2〜4人。地図上に散(ち)らばる数十個(こ)のポイントから、巡(めぐ)る個数や順番(じゅんばん)、配点(はいてん)などを考え選(えら)んで回り、総合得点(そうごうとくてん)を競(きそ)います。到達(とうたつ)までの距離(きょり)が長く、見つけにくいポイントほど高得点。ポイントを回る順番が決(き)められゴールまでの時間を競うオリエンテーリングよりも、戦略性(せんりゃくせい)が必要(ひつよう)になることが特徴(とくちょう)です。制限時間を過(す)ぎると減点(げんてん)されますが、歩いたり、早く終了(しゅうりょう)したりと自由(じゆう)に行動(こうどう)できるため、大会によっては子どもやランニング初心者(しょしんしゃ)にも参加しやすくなっています。

 日本では近年、全国各地(ぜんこくかくち)で地域(ちいき)の魅力(みりょく)を発信(はっしん)する目的(もくてき)で開催(かいさい)されています。写真(しゃしん)をポイント通過(つうか)の証拠(しょうこ)とするフォトロゲイニングが多く、なかには自転車(じてんしゃ)を使(つか)った大会も。自身(じしん)も大会を開催している静岡(しずおか)大の村越真教授(むらこししんきょうじゅ)(58)は、昨今(さっこん)のランニングブームを背景(はいけい)に挙(あ)げつつ、「地図を使って自分が判断(はんだん)する面白(おもしろ)さ。そしてみんなが写真をネット上にアップする時代(じだい)にも合っているのではないか」と広まる理由(りゆう)を推測(すいそく)しました。

 それにしても、子どもがこんなに長い距離を走れるのはなぜ? 認知(にんち)心理学を専門(せんもん)とする村越教授は「ゴールではなく制限時間があることでがんばれる。また、短(みじか)い距離で目標(もくひょう)に到達することを繰(く)り返(かえ)すので、夢中(むちゅう)になった結果(けっか)、驚(おどろ)くような距離を走っているのでしょう」と分析(ぶんせき)しました。

 昨年初(さくねんはじ)めて日本選手権(せんしゅけん)(制限(せいげん)24時間)が開催(かいさい)されるなど、競技指向(きょうぎしこう)の強い大会の人気も高まっています。中でも祭典(さいてん)と言えるのが「オリジナル・マウンテン・マラソン」(OMM(オーエムエム))。イギリスで山岳(さんがく)マラソンとして始(はじ)まって50年の歴史(れきし)があり、日本では2014年に静岡県(しずおかけん)の東伊豆(ひがしいず)町で初(はつ)開催されました。以後(いご)、群馬(ぐんま)県嬬恋(つまごい)村、長野(ながの)県の大町(おおまち)市、南牧(みなみまき)村と毎年場所(ばしょ)を移(うつ)し、今年は11月10、11日に愛知(あいち)県の奥三河地域(おくみかわちいき)にやってきます。大会責任者(せきにんしゃ)の小峯秀行(こみねひでゆき)さん(35)は「奥三河は地形や植生(しょくせい)がOMMに向(む)いている。険(けわ)しい山とは違(ちが)う、深(ふか)い森に入っていく魅力(みりょく)がある」と選(えら)んだ理由(りゆう)を明かしました。

 OMMの特徴(とくちょう)は、何といっても1泊(ぱく)2日で行われ、その間の衣食住(いしょくじゅう)となる5〜10キロの荷物(にもつ)を背負(せお)い、指定(してい)されたキャンプ地で野営(やえい)すること。寒冷(かんれい)な時期(じき)に山岳地帯(ちたい)を安全(あんぜん)かつ正確(せいかく)に行動(こうどう)するための経験(けいけん)、体力、読図力など、山に向(む)き合う総合力(そうごうりょく)が試(ため)されます。過去(かこ)には稜線(りょうせん)上で吹雪(ふぶき)に見舞(みま)われたり、迷(まよ)ったりしてリタイアしたチームもありましたが、「リスクは自己(じこ)責任で受(う)け入れること」を参加(さんか)者も理解(りかい)し、これまで大きな事故(じこ)やトラブルは起(お)きていません。

 パートナーと力を合わせて困難(こんなん)を乗(の)り越(こ)えていくOMMは年を追(お)うごとに日本でも人気を増(ま)し、今年は1回目の倍(ばい)となる1200人の定員(ていいん)がまもなく埋(う)まる見込(みこ)み。小峯さんは「運営側(うんえいがわ)にとっても年に一度(ど)の特別(とくべつ)な2日間。ハードルの高さはあえて維持(いじ)しながら、イギリスのように50年続(つづ)けたい」と目を輝(かがや)かせていました。

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