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鉄道まるっと切り抜き帳

市長案と市教委案、どっちへ進む? 名古屋のSL構想

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 名古屋市科学館(中区栄2)に展示されていたB6形蒸気機関車(SL)を再び走れるように復元する市教委の構想で、走行ルートが2案に割れている。市教委が科学館敷地内の120〜130メートルを走らせる案を一度は市議会に説明したものの、SLへのこだわりを持つ河村たかし市長は旧式客車を連結して330メートル走らせる案を強く主張している。果たして、SLはどちらのレールを進むのか。

 「どえらい貴重な本物。ぜひつなげて走らせたい」

 河村市長は14日の定例会見で、330メートル案を採用すべき理由として2両の客車に言及した。

 この2両は、鉄道車両メーカー「日本車両」(熱田区)が1939(昭和14)年に製造したオハ35形三等客車の最後の現存車両と、32年製造で皇室用列車に連結し随行員が乗車した供奉(ぐぶ)車と呼ばれる車両。ともにJR東日本が所有しているが、存在を聞き付けた河村市長が取得を熱望し、譲渡交渉が進んでいるという。

 「SLもですが、古い客車も世界中にファンがいるんですよ」と話す市長は、復元修理するB6形SLにこの2両を連結して客を乗せ、科学館前から白川公園の南西端までカーブを描いて330メートル走らせることで、新たな観光名所を生み出すことを狙っている。2両の全長はいずれも20メートルで、10・4メートルのB6形SLに連結すると全体の長さは50メートルを超す。

 これに対し、市教委が昨年末に市議会へ説明した案では、この2両とは別に全長10メートルの短い旧式客車を取得し、120〜130メートルの直線レールを走らせる。市教委内では「科学館は教育施設。SL本来の動きを再現して展示するにはこの距離で十分だ」との意見が根強いが、河村市長はこの日の会見で「市教委は『議会への説明は言い過ぎた』と(自分に)謝ってきた」と述べ、130メートル案が決定事項ではないことを強調した。

 両案はともに課題もある。市長案では、客車2両に人を乗せるための改修費や樹木を伐採してレールを敷く費用などが余分にかかる。アスベスト(石綿)除去も必要とみられる。縦割り行政の中で科学館を所管する市教委と白川公園を所管する市緑政土木局との調整も未着手だ。

 市教委案が採用された場合にも、市長案の客車2両は取得できる可能性が高い。SLのレールとは別に展示場所を確保する必要が生じる。

 どちらの案になるのか。河村市長は会見で「(来月の)2020年度当初予算案の公表前には方針を決めたい」と述べた。

 (谷悠己)

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