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鉄道まるっと切り抜き帳

亡き会長の思いを群馬で“第二幕” 甲賀・滋賀運送の貨車移動機「アント」譲渡

旧太子駅に搬入されたアント(右手前)と無蓋車(左奥)=群馬県中之条町で(笹田さん提供)

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 滋賀運送(甲賀市)の故丸山清会長が大切にしていた貨車移動機「アント」を、鉄道文化財の保護活動に取り組む同市水口町の医師笹田昌宏さん(47)が無償で譲り受け、群馬県中之条町で復元整備された「旧太子(おおし)駅」で活用されることになった。

 丸山さんは生前、環境問題やトラック運転手の激務改善への思いから、道路輸送用のトレーラーに鉄道走行用台車を装着し、トラックと列車の双方で物流を行うシステム「デュアルモードトレーラー(DMT)」の国内導入を提唱。2008年には米原市でDMTをテーマにしたシンポジウムを開催し、米国から輸入した鉄道用台車を公開した。

 アントは旧国鉄で使われていた国産で、台車を引っ張る動力車として購入。シンポ後は台車とともにグループ会社の滋賀運送甲賀(甲賀市土山町大野)の敷地に保管していたが、DMTは台車の着脱が容易ではないことや、税制上の問題などから国内では実現せず、丸山さんは昨年9月に78歳で亡くなった。

 遺族や会社は「しっかり保存活用してもらえるなら」と、笹田さんへのアントと台車の無償譲渡を了承した。アントは鉄鉱石の輸送で戦後復興を下支えしたことから、中之条町が産業遺産として観光PRに取り組む旧太子駅で、貨車の移動展示に利用。台車は福井県敦賀市の笹田さんの所有地でいったん保管し、今後の活用方法を探るという。

 2台は24日、甲賀市でトラックに積み込まれた。「丸山会長の思いが詰まっている。良い形で活躍させたい」と笹田さん。立ち会った滋賀運送の平野大樹常務(58)は「笹田さんに引き取ってもらえなければ、処分するしかなかった。生かすことができて良かった」と話した。

 25日にはアントと、笹田さんが大井川鉄道(静岡県)から購入してペンキを塗り直した「無蓋車(むがいしゃ)」を、旧太子駅に搬入した。かつて鉱石を運搬した屋根のない無蓋車の展示は2両目で、中之条町は「日本一の無蓋車公園」を目指しているという。 

(築山栄太郎)

 

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