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ドローン物流、中山間地や離島で期待 私有地飛行、官民で議論

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物流用ドローンの飛行実験をするプロドローンの社員=愛知県豊田市で

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 自由自在に空を舞う小型無人機(ドローン)。その能力を物流分野で活用しようという実証実験が全国各地で進んでおり、民家がまばらな中山間地や離島など人口の少ない地域で輸送効率アップを期待する企業も増えてきた。ただ、活用の幅を広げるには飛行ルールのさらなる整備が必要で、本格的な普及にはまだ課題が多そうだ。

 ■空の産業革命

 全長二メートルほど。ヘリコプターに似た小型無人機がふわりと浮かび上がる。愛知県豊田市内のヘリポートで試験飛行を繰り返しているのは、ドローン製造会社「プロドローン」(名古屋市)の無人機だ。

 最高時速百キロ。ガソリンエンジンを使い、重さ十キロの荷物を二百キロ先まで運べる。事前に設定したルートを自律飛行できる上、遠隔操縦も可能。三月から三重県志摩市と愛知県蒲郡市、静岡県御前崎市を結ぶ最長百七十五キロのルートを飛ばす実証実験に挑む。

 遠隔操作でのインフラ点検や警備なども可能なため、その技術向上が「空の産業革命」とも称されるドローンは、物流分野でも期待が高まる。同社の河野雅一社長は「ドローンは拠点間を結ぶ中長距離輸送に向いている。災害時に被災地へ物資をピストン輸送する手段としては最も有力だ」と強みを強調する。

 ■人手不足

 ドローンを使った物流を巡っては、全国の企業や自治体などが注目する。

 物流大手セイノーホールディングス(岐阜県大垣市)は昨年十一月、山口県下関市の中山間地域でスーパーの買い物代行サービスにドローンを活用する実験に臨んだ。背景にあるのは物流業界で進む人手不足。同社の担当者は「中山間地では一つの荷物のために片道数十分車を走らせることもある。ドローンを使って効率を上げられるといい」と期待を寄せる。

 ネット通販大手楽天は三重県と配送実験を展開しており、ヤマトホールディングス(東京)は、米ベル・ヘリコプターと無人輸送機を開発中。物流業界に詳しい愛知学院大の丹下博文教授は「輸送効率の悪い過疎地や離島などであれば、ドローン物流は有効だろう」とみる。

 ■ルール整備

 一方で気になるのは墜落事故。二〇一七年に岐阜県大垣市のイベント会場で起きた事故では六人がけがを負い、飛行時の一定範囲の立ち入り禁止明確化など規制強化のきっかけになった。

 事故の懸念に「どんなことをしても落ちるときには落ちる」というプロドローンの河野社長は、旅客機事故の際と同様、原因を究明して安全性の向上につなげる中立的な検証システム設立の必要性を訴える。

 もう一つ、問題になるのが他人の土地の上を飛ぶ際のルールづくり。土地所有権は民法上、上空にも及ぶ。無許可飛行は権利の侵害と訴えられる可能性があり、国と民間企業で組織する官民協議会がルール整備のための議論を進めている。

 協議会によると、民間企業からは一定高度以上に土地所有権が及ばないようルール整備を求める要望があるが、プライバシー侵害を含め不安は拭えない。担当者は「空を飛ばすのは地下に施設を造るのとは違う。一定の高さ以上の土地所有権を制限するようなルールづくりは難しいという感触がある」という。

 官民協議会が作ったロードマップでは、二二年度に有人地帯をドローンが目視外飛行する「レベル4」の実現を目指す。ただ、担当者は「ドローンの活用は極力、人や施設の少ないところから実用化が進み、より厳しい規制が想定される都市部での物流はさらに先になるのでは」と見通している。

 (小西数紀)

 <ドローンの飛行ルール> 航空法などにより定められ、高度150メートル以上や人口密集地・空港付近での飛行は国の事前許可が必要。人・建物の近くや人の集まるイベント会場を飛ばす際も許可がいる。いずれも安全性の確保が条件となる。2015年に首相官邸屋上でドローンが見つかった事件を受けて成立したドローン規制法では、国の重要施設、外国公館や原発などの近くでドローンを無許可で飛ばすことが禁じられた。このほかドローンの飛行を制限する条例を設けている自治体もある。

 

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