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地域活動に一定の効果 結城康博・淑徳大教授

結城康博・淑徳大教授

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 多死社会の到来とともに増加傾向にあるといわれる「孤独死」。社会福祉学が専門の結城康博・淑徳大教授(49)に背景と対策について聞いた。

 孤独死について確立した定義はなく、全国的な統計もない。私が考える定義は、自殺や犯罪被害者などは除き、「誰にも看取られず、自宅で一人で亡くなり、発見まで数日以上を要した事案」だ。

 孤独死の統計がある東京二十三区のデータをもとに計算すると、全国で毎年三万人を超える六十五歳以上の高齢者が孤独死していると推測される。今後ますます増えていくのは確実だ。

 高齢者人口が増えている上に、二世帯や三世帯同居が減り、高齢の夫婦だけの世帯が増えている。片方が亡くなれば単身世帯になり、孤独死の予備軍になる。生活スタイルや価値観の変化で、近所や友人との付き合いが減ったことも背景にある。

 孤独死が社会問題となっている最大の理由は、周囲の人に迷惑をかけるという点だ。遺体が何日も発見されなければ、腐敗して異臭が出る。行政のコストもかかるし、住んでいた居宅の後始末も必要になる。

 死後、できるだけ早く発見できるようにすることが大切だ。生きているうちに異常を見つけられれば救命も可能になるが、自宅で亡くなる単身高齢者の数をゼロにするのは不可能だ。

 方策としては、地域コミュニティーの見回り活動などが考えられる。例えば、千葉県松戸市の常盤平団地では、自治会が中心となって二〇〇三年ごろから自治会の役員らが一人暮らしの高齢者宅を定期的に巡回。孤独死対策として交流の場を設け、一定の効果を上げている。

 ただ常盤平団地のように積極的に取り組む自治会ばかりではない。役員や民生委員の負担は大きく、孤独死問題への意識が強いリーダーがいるかどうかによって、差が出てくる。

 国や地方自治体は、自治会に補助金を出すなどして、地域の自発的な取り組みをバックアップすべきだろう。

 <ゆうき・やすひろ> 1969年生まれ。宇都宮市出身。法政大大学院で博士号取得。専門は社会保障論、社会福祉学。自治体職員として介護や高齢者福祉政策を担当した。著書に「孤独死のリアル」(講談社現代新書)など。

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