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メメント・モリ

第7部「ひとりで逝く」総集編

 1人暮らしの高齢者の増加に伴い、誰にも看取(みと)られずに自宅で亡くなる「孤独死」が増えている。連載「メメント・モリ」第7部「ひとりで逝く」では、孤独死の現場や、頼れる身寄りのいない人の姿を取材した。家族や地域との関係の希薄化を背景に、高齢者支援ビジネスは広がりをみせ、同時にトラブルも起きている。孤独死を巡る状況は多死社会の一断面を映し出している。

◆35年間、音信不通だったが

 1人暮らしの高齢者が人知れず自宅で亡くなると、警察や自治体の職員が遺体の引き取り手を探すことになる。疎遠だった親族や遠い親戚に突然、連絡が来ることもある。

 埼玉県小川町に住む会社員の男性(57)は昨年1月、千葉県警の警察官から電話を受け、父親が病死したと知らされた。「最初は何のことだか分からず、驚いた。父は35年前に母と離婚して家を出たきり、音信が途絶えていたから」と振り返る。

 男性によると、父親は千葉市内の借家で1人暮らしをしていたが、誰にも看取られず、息を引き取ったという。男性は警察署で父親の遺体を確認。葬儀はせず、千葉県内の斎場で火葬した。遺品や形見は一切、受け取らなかった。「血はつながっているが、他人のようなもの」。遺骨も引き取らず、斎場で処分してもらったという。

 父親は自動車部品工場で働いていたが、酒浸りで、消費者金融から借金を重ねていた。「とんでもないおやじ。子どもの時から、あきれていた」。男性は高校卒業後に働き始め、父親が家を出てからは関係を絶っていた。

 ただ、「父親のことで近所や親類に迷惑をかけるわけにはいかない」と、父親が暮らしていた部屋の後片付けを遺品整理会社「アイシン」に依頼した。

 清掃を担当した笠原勝成さん(49)によると、部屋にはテレビや電子レンジなどがあったが、荷物は少なかった。食事の準備中に亡くなったとみられ、鍋の中にラーメンが焦げた状態で残っていたという。

 冷蔵庫は空。棚には、インスタントラーメンが50袋、残っていた。それを聞いた男性は「ラーメンばかり食べて暮らしていたのか。経済的には厳しかったようだが、正直なところ、父親のことは思い出したくもない」と漏らした。

 

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