トップ > 特集・連載 > 学ぶ > 記事一覧 > 記事

ここから本文

学ぶ

<スモールステップスで満足キャリア>(上) 「小さな行動」積み重ね

「自分の『好き』に素直に」と語る工藤理世菜さん=東京都千代田区で

写真

 勇気を振り絞る大決断ではなく、気軽で小さな行動から成功体験を重ねて−。昨年十一月、本紙で取り上げた「スモールステップス」によるキャリア形成。その実践で充実したキャリアを歩む若者を、二回に分けて紹介する。

◆やりたいこと、迷わず相談

 「やりたいと思ったら口に出し、先生や仲の良い友人に相談してきました」。キャリア教育などを手掛ける一般社団法人Fora(東京)のスタッフ工藤理世菜さん(21)は、信頼できる人に積極的に相談し、背中を押される形で小さなステップを刻んできた。

 大学生や高校生向けの講座で進行役を務める工藤さん。小中学生時代は学校で友人関係などに悩み、「何かやりたいけど、その気持ちを押し込めていた」。高校に入り、その思いが「爆発」した。

 一年の春に見た高校生の討論イベントで、生き生きとした姿に感動。「自分も学校で開きたい」と見よう見まねで作った企画書を先生に出した。ハードルは高かったが「できたら面白そう」という先生の言葉にも励まされ、二年の冬に開催にこぎ着けた。

写真

 Foraとの出合いも、先生への相談が発端。三年の冬、大学でキャリア教育にかかわる学生団体を立ち上げたいと相談すると「他の団体で勉強してからでもいいのでは」と助言を受けた。自分の関心に近い活動をしていたForaを見つけ、大学入学後に一年間のインターンを経験。一昨年に経済的な理由で大学を一年で中退した後、昨年一月に採用された。

 独学でカメラマンとしても歩み始めた。インスタグラムに投稿されるカップルや家族のすてきな写真にあこがれ、出張撮影サービスの運営会社社長に「会いたい」と手紙を書いた。昨年六月に面会し、写真への興味を伝えると「やってみなよ」と勧められた。十月には、アルバイトしていた飲食店で作品展を開いた。

◆周囲の後押しが励みに

 一歩一歩は「好き」を見つける過程。かつて目指したのは学校の先生やウエディングプランナー。現在はForaで生徒らに向き合い、写真で人を幸せな気持ちに、と腕を磨く。「かつての『好き』と根っこでつながっている。めちゃくちゃ幸せです、いま」

 慎重で怖がりで、迷いや悩みもある。「でも肯定してくれる人がいて、『自分の好きに素直になっていい』と思えたことが大きい」。これから社会に出る中高生に「深く突き詰めたいと思えることができたら、誰でもいいので人に話し、調べ、始めてみてほしい」とエールを送る。

 (河原広明)

◆「キャリア形成に重要」専門家も指摘

 若者のキャリア形成に「スモールステップス」が重要と説くのは、リクルートワークス研究所の古屋星斗(しょうと)研究員。人工知能(AI)の導入などで産業構造が大きく転換する中、今後は会社や職業ではなく、「自分が好きで熱意を持って取り組めること」を選ぶ時代になるとみる。

 満足度の高いキャリア形成には「知らない世界に踏み出す」「新しいことをやってみる」という行動が有効。行動は小さくていい。情報があふれる時代には実際に動き、自ら経験することが大切だからだ。ステップを刻む中で「好き」を見つけることが「満足キャリア」への鍵となる。

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索