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教育

「出席扱い」認められやすく フリースクールなどで学ぶ不登校生

フリースクール「まなび場」で英会話を楽しむ子どもら=名古屋市昭和区で

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 二〇一八年度に過去最高の十六万四千人に達した不登校の小中学生への支援を巡り、文部科学省がフリースクールなどで学んだ場合に「出席扱い」にしやすくなる通知を出すなど、学校外の場でも学びやすい環境を整える動きが出ている。一方、個別のサポートにとどまらず、不登校を生む教育全体のあり方を問い直すことが必要との指摘もある。

 名古屋市昭和区の住宅街にあるフリースクール「まなび場」。元教員の幸(ゆき)伊知郎さん(59)が〇二年に開設し、不登校の小中学生や高校生ら約二十人が通う。十二月初めの平日の午後、ボランティアスタッフの米国人男性が中学生ら四人に英会話を教えていた。

 不登校の子どもの学習を支援するこうしたフリースクールや、情報通信技術(ICT)を活用した教材などで学んだ場合、出席扱いが認められやすくなるよう文科省は十月二十五日に全国の教育委員会に通知を出した。

 要件に「不登校児童生徒が現在において登校を希望しているか否かにかかわらず」と記載したのがポイントだ。不登校生を国や自治体が支援することを定めた教育機会確保法が一七年に施行され、学校に行かずに「休養」する必要性がうたわれたことが大きい。

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 文科省の調査によると、フリースクールなどの民間施設に通う小中学生は約四千二百人(一五年度)。これまでの通知は「学校復帰が前提」とも受け取れる内容だったため、出席扱いが認められないケースもあった。欠席が続くと卒業後の進路選択の幅を狭めるなどの懸念がある。幸さんは「学校復帰が前提ではないと明確化したのは前進だと思う」と評価する。

 一方、フリースクールなどの会費は家計を圧迫する懸念がある。「まなび場」の月会費は参加の頻度に応じて設定され、月六時間以内の場合は一万円、週二十八時間以内の場合は三万円だ。

 経済状況に合わせた減額措置も設けているが、幸さんは「運営には会費が欠かせない。会費を低く設定しても、経済的に困難があって払えない家庭もある。公立校には無料で通えるので、何らかの補助は必要だ」と話す。

 文科省は来年度から不登校生がフリースクールなどに通う交通費や教材費などの一部を補助する制度の創設を目指し、来年度予算の概算要求に盛り込んだ。国による経済的支援は初めて。対象は生活保護受給世帯などを想定し、都道府県や政令市が補助制度を設ける場合に一部を補助する。

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 同省の昨年十二月の調査では、全国のフリースクール三百五十一施設のうち、三百九施設は都道府県教委などから交通費や教材費などの経済的支援を受けていなかった。

 担当者は「フリースクールがその子にとって最善の居場所なら、経済的な理由で通えなくなり、社会的な自立の妨げになってはいけないと考えた」。補助対象に授業料は含めておらず「支援の対象をどこまで広げられるかは今後の検討課題だ」とする。

 文科省の方針を評価する一方、幸さんは「学校を居心地悪く感じる子どもたちが一定数いるという現実がある。子どもはそれぞれが課題を抱えていて、学校に通っている子も同じだ。それを子どもたち個人の問題とせず、居心地の悪さとは何なのかを考えるべきだ」と、教育のあり方自体を問い直す必要があると語る。

 関西学院大の桜井智恵子教授(教育社会学)も「学力主義や規律など学校が子どもを排除しているメカニズムがある。そうした状況がなぜ生まれたのかを問わなければならない」と話す。

 (河原広明)

 

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