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教育

英語の対話力、ペアで育てる 改善進む中学の授業

ビデオカメラの前で向かい合って座り、スピーキングテストに臨む生徒ら=名古屋市緑区の千鳥丘中学校で

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 英語の「読む・聞く・話す・書く」の四技能を測る大学入試改革をにらみ、中学校でも授業改善が進んでいる。中三対象の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)では、本年度から「話すこと」を含む英語の試験を初めて実施。その場に応じて対話する力が求められる中、名古屋市内でスピーキングテストに取り組む中学校を訪ねた。

 「ワット ドゥ ユー ライク トゥ ドゥ?」

 同市緑区の千鳥丘中学校。三年生の教室の外で、ビデオカメラを前に男子と女子が向かい合い、英語で会話を続ける。学期に一度、行っているスピーキングテストだ。

 テーマは「好きなこと」。動画投稿サイト「ユーチューブ」を見るのが好きという男子生徒は、お気に入りのユニットの写真を見せ、魅力を説明。女子生徒はチアダンスについて、得意なY字バランスを披露しながら話し続けた。

 与えられた時間は三分半。最初の問いかけとその回答だけなら十秒程度で終わる。会話を続けようと「なぜ好きか」「どういうところが好きか」など、質問を考えては繰り出した。

 一方、教室内の授業では、英語科の返町岳司教諭が指示も問い掛けも英語で行う。教科書はほぼ開かず、「好きな学校行事」についてペアを組んで互いに尋ねる活動からスタート。生徒たちは縦、横、斜めとペアの相手を代えることで、相手の言い回しを取り込み、表現力を磨いていく。

 返町教諭はさらに「話す→書く」のサイクルで指導。「会話重視の授業を続けるうち、話したい内容が膨らみ、まとまった形で伝えられるようになる。その上で書くと、考えが整理できる。それがまた、話すことにつながる」と説明する。生徒に百文字程度のエッセーを書かせることで、正しい文法で書けているか、確認もできる。

 返町教諭の授業を指導する名古屋外国語大の佐藤一嘉教授は「教科書に沿って教師が説明し、ワークやドリルをやる授業ではコミュニケーション力は付かない」と会話主体の授業に転換する意義を説く。

      ◇

 佐藤教授によると、四技能は別々に身に付けるのではなく、統合して使うことで力が伸びることが二〇〇〇年代の研究で分かっている。同市千種区の猪子石中学校英語科、石飛典子教諭は十年ほど前から、ペアやグループ活動の中で四技能を使い、コミュニケーション能力を育てることを学習目標に置いてきた。

好きな場所についてペアで会話のやりとりをする生徒ら=同市千種区の猪子石中学校で

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 定期テストや提出物に頼っていた評価方法も見直し、生徒同士で対話する形のスピーキングテストの前には、流ちょうさや正確さなどの評価項目と得点、基準を書いた評価表を示している。石飛教諭は「ペアやグループ活動だけでなく、学んだ成果を評価するスピーキングテストを行うことで、学習効果が期待できる」と強調する。

 結果は数字にも表れている。学力テストの「話すこと」を巡り、会話を聞いて把握した内容について即興で質問する問題は、全国の正答率10・5%のおよそ二・六倍にあたる27・9%だった。

 (福沢英里)

 

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