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小さな行動、成功重ねて リクルートワークス研究所・古屋さんに聞く

古屋星斗さん

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 「大企業に就職すれば安泰」というような考えが通用しない時代に、中高生ら若者はどうキャリアを築けばいいのか。リクルートワークス研究所の古屋星斗(しょうと)研究員は、勇気を振り絞る大きな決断ではなく、小さな行動で成功を積み重ねる「スモールステップス」が大事と語る。

 −古屋さんは「人生四十五年時代」と説いています。

 今春、財界トップらが企業が従業員を生涯雇い続ける「終身雇用」は限界との見方を示しました。希望・早期退職を募集する上場企業も増え、多くの場合、対象は四十五歳以上の社員です。就職して定年まで勤め上げるマラソン型の生き方は崩壊し、八年や十年で実績を上げる短距離走型になろうとしています。

 −従来の「会社・職業選び(就社、就職)」は「したいこと選び(就こと)」に変わるとも。

 人工知能(AI)の導入などで専門性の低い仕事は置き換えられていきますが、仕事を構成する一つ一つのタスクは消えない。例えばタクシー運転手は運転や経路選択、接客、おもてなしなどのサービスを担っています。仮に運転や経路選択は自動化されても、接客やおもてなしのようなタスクは残るでしょう。そのタスク、つまり「こと」を仕事として選ぶ時代になる。

 −「短距離走型」「就こと」の時代、キャリア構築の正解は。

 短距離走型は短期間で成果を出す爆発力が求められる。「就こと」では熱意を込められる「こと」を見つけることが重要です。共通するのは、どれだけ情熱を持てるか。「嫌なことを粛々と」は「好きなことを全力で」には勝てません。

 かつて「いい大学に入り、いい会社に就職する」というのが、多くの人にとって正解と思われていました。それが完全に消滅し、何が正解かを自ら探さなければいけません。そこに今の若者は苦しんでいます。でも万人に通用する正解はなくても、自分の正解はつくれるのです。

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 −どうすればいいか。

 インターネット検索では、絶対に見つからない。自分が体験する、行動することが大切です。情報化社会では情報が簡単に得られるので、実際に行動することのハードルが高い。「それをやって何か意味があるの?」と。しかし、自分の行動から生まれるリアル(現実)にしか価値はないのです。

 −どんな行動が必要か。

 知らない世界にまず踏み出す「越境行動」と、新しいことをまずやってみる「企画行動」が効果的だと、二十代後半の会社員ら約二千百人への調査から分かってきました。若いうちにこの二つを経験した人の方が、そうでない人よりも現在のキャリアへの満足度や仕事への意欲、今後のキャリアへの展望のすべての数値が高かったのです。年収や企業の安定度などは関係ありませんでした。

 −一歩を踏み出すには勇気がいる。

 いえ、大企業からベンチャー企業に転職するとか、いきなり起業するとか、大きな勇気を出す必要はありません。無料通信アプリのLINE(ライン)で目的に合わせたグループを作るなど、ちょっとした行動でも効果が出ているのです。

 半歩踏み出すための行動を小さく始め、成功を積み重ねる。その中で好きなことを見つけていく。これが今後のキャリア構築のポイントでしょう。「スモールステップス」と呼んでいます。

 −中高生に向けて。

 とりあえずやってみることが大事。実際に動く人は少ないので、それだけで他の人に差をつけられます。世界一周の旅をしたいなら、いきなり旅に出る必要はなく、まず経験者の話を聞く、ツイッターでつぶやくでもいい。やりたいと思ったことを具体的な行動にすることに価値がある。

 親でも学校の先生でも、応援してくれる人を見つけられるといい。行動するにはエネルギーがいるので、背中を押してくれる人がいると心強いと思います。

 (河原広明)

 <ふるや・しょうと> 1986年、岐阜県多治見市生まれ、東海高校(名古屋市)卒。一橋大大学院社会学研究科(教育社会学)修了。2011年に経済産業省に入省、産業人材政策などに携わり、17年から現職。次世代の若手人材のキャリア形成などを研究。

 

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