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IT自宅学習、出席扱いに 不登校からの復帰、進路選択を支援

ICT教材に取り組む中学3年の女子生徒=愛知県で

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 不登校の児童生徒の学習支援として、ICT(情報通信技術)を活用した教材の利用が広がり始めた。自宅学習でも要件を満たせば、校長の判断で指導要録上の「出席扱い」にできる点もポイントだ。ただ、認められた事例は少なく、現場への浸透が課題となっている。

 「すぐに自分の答えが採点されて勉強しやすい」。愛知県内の中学三年の女子生徒(15)はICT教材「すらら」の使い心地を語る。昨年十二月から数学、国語、英語の三教科を受講し、自宅でノートパソコンを開いて学んできた。

 小学五年の夏休みを境に学校に通うのが難しくなった。現在も中学に通うのは週一〜二回。一時間ほど授業を受けて帰宅する。「将来は難民支援に携わりたい」と高校進学を目指し、十月からは五教科を学べる別のICT教材に取り組む。

●学年関係なく

 「すらら」は、すららネット(東京)が開発。学年を意識せずに学べる方式で、小学一年〜中学三年の学習範囲を学べるコースが月額八千円(税抜き)だ。教科は小学校が算・国の二教科、中学校が英・数・国の三教科。来年三月から小中とも理科、社会が加わる。

 これまで塾や学校での利用がほとんどだったが、不登校の児童生徒らが自宅で利用するケースが増えている。同社子どもの発達支援室の佐々木章太室長は「本人の気持ちが勉強に向かっているかどうかの見極めが大切」と指摘。その上で「不登校で学べなかった単元がある場合、学年や学期をさかのぼって始められるため抵抗感なく取り組んでもらえるのでは」と話す。

 文部科学省によると、二〇一七年度の不登校の小中学生は十四万四千人で過去最多となった。勉強の遅れが学校への復帰を妨げたり、長期の欠席が卒業後の進路選択の幅を狭めたりする懸念などから、同省は〇五年、ITなどを利用して自宅学習した場合に出席扱いにできると通知。児童生徒の理解に応じた計画的な学習プログラムであることや、学習状況を十分に把握することなどを要件に掲げる。

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●伸びない件数

 ただ一七年度に認められたのは百四十九件にとどまる。同省担当者は「通知自体が学校現場で知られていなかったり、学習状況の把握が難しかったりするのではないか」と話す。

 女子生徒も初めに入学した中学で、インターネットを使った学習を出席扱いとしてもらえるかを相談した。しかし、検討すらしてもらえず、母親(54)は「文科省の通知が知られておらず、通知の存在を知らせても対応してもらえないことに驚き、落胆した」という。

 転校先の中学では、学習時間や進度を管理できる「すらら」の仕組みや、同省の要件をクリアできることなどを説明し、認められた。母親は「どんな形でも本人が学びたいという気持ちを持っている以上、応援したいという思いだった」と振り返る。

 ICT教材による学習を出席扱いにするかどうかは校長の裁量。過去に認めたことのある中学校長は「文科省の通知は知っていたが、実際に対応した経験がなく、保護者から相談を受けた時点では雲をつかむような話だった」と語る。教材会社に連絡して学習状況の把握方法などを確認。経験のある他の校長にも相談し、最終的に要件を満たすと判断した。

 学校現場への浸透を図ろうと、さいたま市教委は七月、文科省の通知などを基に独自にガイドラインを策定。文科省の示す要件などを分かりやすく表にまとめ直した内容で、担当者は「校長への周知を図るとともに、児童生徒の支援の一助になれば」と話す。

 (河原広明)

 

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