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南海トラフへ「考える防災教室」 児童が「臨時情報」に備え

南海トラフ地震臨時情報が発令された時の対応策を話し合う児童ら=浜松市の静岡大教育学部付属浜松小学校で

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 大地震や津波の可能性が高まった時、どう動けばいいか。頼りになるのは、普段から、いざという時に備える防災意識だ。災害を「自分事」として小学生に考えさせる静岡大・藤井基貴准教授のゼミ生による出前授業「考える防災教室」を取材した。

 太平洋岸から約七キロにある浜松市の静岡大教育学部付属浜松小学校。夏休み前の七月中旬、多目的室に四年生約七十人が集まり、九十分の出前授業が始まった。

 まずはクイズから。南海トラフ巨大地震が浜松と関連が深いこと。今後三十年間に起きる確率は70〜80%と考えられていること。基本を押さえたら、本題へと進んだ。

 題材は、政府が今年から運用を始めた「南海トラフ地震臨時情報」。授業では、自分が住む地域で臨時情報が出た時、どう動けばいいかを疑似体験することで、防災意識を育むことが狙いだ。

◆職業別に疑似体験

 児童らは十八の班に分かれ、レストランや消防署、ガソリンスタンドなどの職場を割り当てられた。最初の作業は、臨時情報が出た時に「どうするか」とその理由を話し合うこと。レストラン班は「窓を開けて逃げ道を確保する。火事にならないようガスの元栓を閉める」。自動車工場班は「頭を守るため、防災用のヘルメットを用意する」と画用紙に書き込んだ。

 自分たちの役割を考えたら、ほかの班から情報収集。「連絡係」が聞いてきた情報をもとに、「ほかの職業の人と一緒にできること」を話し合った。

 ドラッグストア班は「薬を持って近くの病院へ移り、多くの人を助ける」。消防署班は「テレビ局と一緒に避難を呼び掛け、バス会社と協力して住民を高台へ避難させる」という具合に、それぞれの職業の立場から「できること」を考えた。

 授業を担ったゼミ生が「地震の被害を少なくするには、起きる前から話し合っておくことが大切。今日の授業で考えたことを家族や周りの人と話してくださいね」と語りかけ、締めくくった。

◆避難の場所迷った

 スーパーマーケット班だった伊原美波さん(9つ)は「お客さんを避難させる場所はどこでもいいわけじゃない。倒れるものがないところは見つかりにくいと思った」。小林愛菜さん(9つ)は連絡係として情報収集する中で、「避難場所は逃げやすいように一階に集めるのがいい」と聞いて、なるほどと思ったという。

 「考える防災」の授業は、子供たちが自ら学ぶ「アクティブラーニング」の側面も併せ持つ。藤井准教授は「ロールプレーによって『気づき』が得られ、情報交換でさらに深める。授業をきっかけに、被害を少しでも減らすために能動的に関われるようになってほしい」と話している。

 (北島忠輔)

 <南海トラフ地震臨時情報> 南海トラフ地震で想定される震源域は、東は静岡県沖から西は四国まで、幅がある。どちらかで大地震が発生した場合、時間差で残りの地域でも起きる可能性が高まる。このため、マグニチュード(M)8以上の地震が起きた時、連動して起きそうな地域に対して気象庁が「臨時情報」を発令する。警戒度などに応じて4段階に分かれ、もっとも深刻な「巨大地震警戒」が出た場合は、1週間の避難を呼び掛けることになっている。

 

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