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教育

子ども同士で「協同解決」 算数・数学の授業で実践

互いのノートを見せ合い、解き方を比べたり、考えたりする児童=愛知県の豊田市寿恵野小で

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 小学校の算数や中学校の数学で、子ども同士が教えることで学び合う愛知県内の学校がある。教員が説明した通りに子どもたちが問題を解く授業とは違い、「協同解決型」と呼ばれる。専門家は「置いてきぼりをつくらない」というが、どんな授業なのだろう。

◆めあても決める

 豊田市寿恵野小学校で七月、六年生が「比とその利用」を学ぶ授業。担任の田中志奈教諭がリボンと姉妹のイラストを黒板に張った。

 一般的にはここで、授業のめあてを先生が示す。だが田中先生は黙ったままだ。すると、児童が「比の問題が作れると思います」などと発言。これに応じて田中先生が「全体の長さは二・五メートル」「姉と妹は三対二で分ける」と問題を解く上で必要なヒントを出した。

 「今日のめあてを相談しませんか」と児童から声が上がり、「比を使って、全体が分かっている時のそれぞれの長さを求めて説明しよう」に決まった。

 まずは三分間、自分で考える。次は四人グループで相談。ノートに書いた解き方を各自が読み上げるのではなく、「せーの」のかけ声で見せ合う。

 「これはどう考えたの」「ここまでできたけど、まだ分からない」など、子ども同士のやりとりが始まった。解き方が分からない子は他のメンバーから説明を受け、全員が説明できるようになるまで教え合う。書き写すだけはNG。グループで問題を解決したら、ホワイトボードにまとめる。

 十五分ほどたつと、児童から「そろそろ発表しませんか」の声。各グループのホワイトボードが黒板に張り出され、全員が前に出てきた。線分図や比の値など、グループによって考え方がどう違うのかを比べ、全員で考えた。

 同小では「みんなでわかる 算数の授業」が合言葉。昨年六月から全クラスで、このような「学び合い」の授業に取り組む。二年生以上は、学習のめあてを自分たちで決める。

 六年の蟹江雅さんは「算数は苦手だったけど、友達に聞いたり教えてもらったりするうちに分かるようになった」。今年二月の全児童へのアンケートで「算数の授業が楽しい」は「そう思う」「どちらかというとそう思う」が67%だった。

 民間の標準学力検査の結果にも成果は表れている。今の六年生が今年一月に受けた結果と、昨年一月の結果を比較すると、思考力をみる「考え方」で約一・二倍の伸びをみせた。

クラスメートを前に、グループの考え方を説明する生徒=愛知県南知多町の師崎中学校で

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◆伝わる話し方に

 南知多町の師崎中学校も今年三月から、一、二年生で実践している。当初はノートを見せ合うことにためらう姿もあったが、二年の山下翔悟さんは「仲間に説明する時、伝わるように話そうとするから理解が深まる。他の教科にも生かせる」と前向きだ。

 「最初は生徒に任せるのが不安で、自分ばかりしゃべっていた。今はどんな考え方が出るのか楽しみ」と話すのは数学担当の戸倉勇人教諭。誤答が交ざったホワイトボードが並んでも「生徒がどこでつまずくかが分かる。教員が教える授業だと、誤答から説明が始まることはない」と受け止める。定期テストで生徒が間違えやすかった連立方程式も正答率が八割に上がるなど、成果も出始めた。

 二校で指導にあたる至学館大の鈴木正則教授(算数・数学教育学)は「算数や数学では習熟度別や少人数指導もあるが、得意な子も苦手な子もいる、でこぼこしたグループで学び合う方が子どもは伸びる」と手応えを感じている。

 (福沢英里)

 

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