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<NIE>「深い対話」記事が支える 宇都宮で全国大会

出生前診断の是非をテーマに激論を交わす文星芸術大付属高校の生徒たち=宇都宮市の市総合コミュニティセンターで

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 授業での効果的な新聞活用法を考える第二十四回NIE全国大会が八月一日から二日間、宇都宮市内の二会場で開かれた。「深い対話を育む」をキーワードに、小中高の公開授業や実践発表などがあり、全国から集まった教員や新聞関係者ら約千百人が見守った。公開授業の一部を紹介する。

 宇都宮市の文星芸術大付属高校二年生による「総合的な探究の時間」の公開授業。二手に分かれて討論を始めた。テーマは出産前に胎児の異常を調べる出生前診断。「胎児のことを知る権利がある」と主張する賛成派に対し、反対派は「差別を助長する恐れがある」などと反論した。

 新聞記事が示されたのは、互いの主張の矛盾点を追及する反対尋問の場面。検査を受けないことで生じる心理的な負担や不利益を賛成派に指摘された反対派が、出生前診断を受けた女性を取り上げた内容だった。

 記事によると、女性が検査を受けたのは「胎児に障害がないことを確認し、安心して妊娠生活を送りたい」との思いから。検査で陽性でも産もうと考えていたが、実際に陽性と分かると不安になり、人工妊娠中絶した。その後、女性はこの選択を後悔していると伝えていた。

 反対派の男子生徒は「検査で陰性だったが、産んでみたら障害があった時はどうなるのか」と議論を展開。女性とは逆のケースでも負担や葛藤が生じるという問題点を指摘した。

 最終弁論でも、「出生前診断という新技術があるからといって使うのは、核爆弾が開発されたから戦争に使うのと同じだ」と強調。「胎児のことを知る権利」の一点張りだった賛成派に比べ、反対派の主張に説得力があると評価された。

 同じ反対派の堤大愛さんは「インタビューをするのは難しいので、記事にあった当事者の声が参考になった」と振り返った。

 指導する竹内昭夫教頭は「入試改革に備え、思考力を鍛えるにはディベートが最適。新聞記事はネット情報に比べ、正確で責任の所在が明らかで、参考資料に使いやすい」と話した。

社説を読み、論理の展開についてまとめたチャート図を示しながら仲間に発表する宇都宮大教育学部付属中学校の生徒=同市の市文化会館で

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 宇都宮大教育学部付属中学校の三年生は、「食品ロス」をテーマにした全国紙の社説を読み比べる国語の授業に臨んだ。四人前後のグループごとに、各自でまとめたチャート図を仲間に見せながら説明した。

 単元の目的は「論理的に読む」。生徒らは、主張の根拠となる現状やデータを筆者がどんなふうに取り上げ、事例や主張につなげているかをチャート図にまとめた。さらに仲間が社説のどこに注目して情報を整理したのか、ワークシートに書き込んだ。

 論理展開の違いにも着目した。ある全国紙の社説は、問題提起から始まり、年間六百四十三万トンという数を挙げて深刻さを強調。事業者に期待する取り組みや家庭でできる工夫を紹介し、読者に身近な問題であることを印象付けていた。一方、別の新聞では、「国民一人一人が関心を持とう」と結論から文章が始まっていた。

 「読み手の共感を得るために必要なことは何かな」。中沢由香教諭が問い掛けると、ある男子生徒が会場で取材中の新聞記者に逆取材。記者から「具体的に分かりやすく書くために取材を重ねる」との答えを引き出すと、会場はどっと湧いた。

 中沢教諭は「多くの読者に読んでもらうための工夫がある。一つの情報に偏らず、複数の記事を読み比べ、理解を深めよう」と語り掛けた。

 (福沢英里)

 

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