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教育

学校の「空気」に従わない 劇作家・鴻上尚史さんに聞く

鴻上尚史さん

写真

 いじめや不登校の背景にある学校の「空気」。集団での嫌がらせや、周りと同じであることを求められる苦しさから逃れる方法はないだろうか。「『空気』を読んでも従わない」(岩波ジュニア新書)を書いた劇作家の鴻上尚史さん=写真=に、そのヒントを聞いた。

 −「生き苦しさ」という言葉を使っていますね。

 生き苦しさを考えるキーワードは「世間」です。学校や会社、近所など、自分と関係のある人たちでつくるグループを意味します。例えば「みんなが悪口言ってるよ」と言われてドキッとした時、その集団はあなたにとっての世間です。

 −本で伝えたかったことを教えてください。

 クラスや部活でいじめなどの被害を受けている中高生は、そんな「世間」の中で苦しんでいる最たる存在です。「世間」が日常に現れるようになったのが「空気」です。そこから抜け出す方法を伝えたいと思いました。

 −どんな方法ですか。

 自分の周りの「空気」は変えられます。強力なものだと思い込まないことです。嫌な「空気」に従って生きていくことを解決法にせず、自分が本当に大切にしたいものは何かを考え、行動することです。

 −鴻上さんにも、そういう経験がありますか。

 中学生の時、友達でもないのに友達のふりをするのが嫌でした。無理して付き合うより、腹をくくって、一人でいることを選びました。そうすると、同じように考える人がいることに気づき、友達になりました。グループから離れる寂しさはありますが、仲間外れを恐れないことで、ぐっと楽になれました。

 −それから半世紀。今の生き苦しさの本質は。

 スマートフォンの登場が大きいですね。「いいね」やフォロワーの数で自分を評価してもらいたいと考える人が増えています。「人からどう思われているか」を目標にしてしまうと、グループで仲間外れにならないように返信に必死になり、生き苦しくなります。

 −生き苦しさを少なくするには。

 学校に関しては、クラス編成を教科ごとに替えるなど、柔軟にすることを提案します。いろんなクラスメートがいるというだけで違うし、結束したいじめも起きにくい。教員はいじめを隠すよりも、そういうことに知恵を絞るべきです。

 −教育で重要なことは。

 「これをしてはだめ」という決まりを押しつけるだけでは、根拠のないルールに身を任せ、考えずに生き延びることだけを身に付ける人を育てることになります。子どもを健康的に自立させるという視点と、自分で考え、決断できる人を育てる姿勢が必要です。

 (北島忠輔)

 <こうかみ・しょうじ> 1958年、愛媛県生まれ。早稲田大法学部卒。81年に劇団「第三舞台」を結成。2008年、若手俳優を集めた「虚構の劇団」を旗揚げ。「『空気』と『世間』」(講談社現代新書)、「青空に飛ぶ」(講談社)など著書多数。テレビ番組の司会や映画監督としても活動。桐朋学園芸術短期大特別招聘(しょうへい)教授。

 

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