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キャリア教育を密度濃く 小中高に常駐コンサルタント

給食を食べながらキャリアナビゲーター中村彩可さんとの会話を楽しむ児童=名古屋市東区の矢田小で

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 名古屋市は昨年10月から、就職や能力開発の相談、助言を行う専門職のキャリアコンサルタントを、市内の小中高6校に常勤で置くモデル事業を始めた。普段は学校行事に講師として呼ぶことはあっても、常駐させるのは全国的にも珍しい。児童や生徒の成長にどう関わり、どんな役割が期待されているのだろうか。

 事業はNPO法人が請け負い、キャリアコンサルタントの適性を判断して学校に派遣する。学校では「キャリアナビゲーター」(キャリナビ)と呼ぶ。

◆面談で強み引き出す

 モデル校の一つ、同市矢田小学校の三階にはキャリナビの部屋がある。児童の投票で決めた、その名も「ミライのとびら」。仕事紹介の掲示物や書籍が充実し、さながら学校のハローワークだ。六月下旬、四年生七人が、キャリナビの中村彩可さんと給食を食べて交流する「ミラとびランチ」にやってきた。

 ランチは面談の場でもある。「人から言われてうれしかったことは」「やってみたい仕事は」などの質問が書かれ裏返しになったカードを児童が読み上げ、思い付くまま他の児童が話し始める。「百点取ってお母さんにすごいねってほめられた」「野球でナイスヒットって言われたよ」

 「自分の良さを知り、将来なりたい自分を思い描けるように」と六月から始まった給食面談。聞き役に徹する中村さんは「友達と話したり、関わったりするのは楽しいと知ってほしい」と話す。松山清美校長は「常駐だから給食面談が実現した。自分の意見が言えて、友達の話も聞ける。そうやって子どもたちが高め合える場を一緒につくっていけたら」と期待を寄せる。

      ◇

 キャリナビの活用法は学校次第。教員と連携しながら、学年に応じた出前講座の企画や職場体験のコーディネート、児童生徒や保護者への個別相談などを担う。小学校から自分の良さや強みを考えることで、将来に向けて学ぶ意欲を持てるようにすることなどが期待されている。

◆進路見据え適性検査

面談用のソファが置かれ、明るい雰囲気の専用室=名古屋市中川区の長良中で

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 別のモデル校、同市長良中学校は卒業後の進路を見据え、キャリナビが個人面談を進める。ソファが置かれた専用室には、生徒から多い時で週四日、予約が入る。担任とも親とも違う大人として、たわいのない話から今頑張っていること、将来への不安や夢など一時間かけて話を聞く。簡単な職業適性検査も受けられる。「自信が持てない子も、それでいいんだよって背中を押すと表情が変わる」とキャリナビの後藤雅子さん。

 今年から、職場体験に行く前の二年生に、自分の適性や興味分野を知る「職業レディネス・テスト」を実施。研究的、芸術的など六つの職業領域のどれに近いのかを各自が理解した上で、営業職やデザイナーなど各領域の社会人から話を聞いた。後藤さんは「興味や能力に応じた職業を選択できるよう支援したい」と意気込む。

      ◇

 新学習指導要領では「特別活動」に初めて、小中高の共通項目「一人一人のキャリア形成と自己実現」が盛り込まれた。ただ、すべての学校で名古屋市のような事業はできない。小中学校のキャリア教育に詳しい愛知教育大講師の高綱睦美さんは「『なぜ学校で勉強するの』という問いに、『学歴があった方が有利』ではなく、生きていくのに大切な学びであることを伝える活動がキャリア教育」と意義を強調し、「教員が日々の教科を通して働きかけることも可能」と指摘する。

 (福沢英里)

毎週入れ替えるという職業紹介の掲示物を指すキャリアナビゲーターの長谷川涼さん=名古屋市中川区の長良中で

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