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トラブル予防、弁護士が助言 「スクールロイヤー」導入進む

いじめ予防出張授業で教壇に立つ竹内千賀子弁護士=愛知県一宮市教委提供

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 いじめへの対応や、運営面で学校に助言をする弁護士「スクールロイヤー」の導入が各地で進んでいる。判断に悩むケースで法律のプロからアドバイスを受け、トラブルを未然に防ぐことが狙い。学校現場の負担を軽くする効果も期待されている。

 愛知県弁護士会の竹内千賀子弁護士は月に一度、一宮市内の小中学校四、五校を回る。市の学校法律相談事業の一環で、いじめや事故などへの対応から、学校の運営に関することまで、相談の内容はさまざまだ。

 例えば、いじめを受けた子どもの親が学校に対し、いじめた側が謝罪する場をつくるよう求めてきたケース。学校から「謝罪の場を設定する義務があるか」と相談を受けた。

 竹内さんは「義務はない。何度も謝罪させることは強要罪にあたる可能性がある」と回答。「いじめられた側に寄り添うのはもちろんですが、いじめた側も含めて、子どもにとって何が大切かを考えてください」と言い添えた。

 「猛暑の中で、夏休みのプール開放日を続けてもいいか」と意見を求められたことも。昨年、県内で校外学習後に男子児童が熱中症で亡くなる事案があり、学校が判断を迷っていた。

 昨年の例もあり、学校側に事前に危険性を認識する予見可能性があることは否定できない。事故が起きた場合に過失責任が問われる可能性がある−。そう考えた竹内さんは「ポイントは児童の安全の確保。見守る人の配置や親の送迎などの態勢が取れないなら、やめてもいいのではないか。PTAとも検討して、判断してください」と助言。学校は実施を取りやめた。

 心掛けるのは子どもが安心して通える学校運営をサポートすること。「学校は保護者から強く要求されると、保護者の方を向いて対応してしまいがちだが、子どもに傷が残らないようにすることが大切」と強調する。

 竹内さんは、小中学校でのいじめ防止の出張授業も担当する。学校側にとっては「判断に迷っている時に、専門家の立場から意見をもらえるのがありがたい」と頼もしい存在だ。

      ◇

「学校と一緒に子どもの利益を考えるのがスクールロイヤーの仕事」と話す岩佐嘉彦弁護士=大阪市内で

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 第三者の立場で子どもや保護者の事情を検討し、解決に向けて学校側に助言するスクールロイヤー。日本弁護士連合会によると、三重県や大阪府など少なくとも十府県と、愛知県一宮市、岐阜市、大津市など十八市区町が導入。文部科学省は配置を促しているが、自治体の予算確保や担う弁護士の育成が課題だ。

 大阪市では、弁護士や臨床心理士、児童精神科医などがチームを作り、学校現場の要請に対応している。

 ある小学校で、子どもの体操服がなくなったことがあった。学校側は持って行った児童を推定し、「どのように指導したらいいか」と相談を持ち掛けた。

 担当した岩佐嘉彦弁護士は「盗みと決め付けて指導してはいけない」と助言。臨床心理士の意見を取り入れながら、児童に家庭や友人関係のトラブルがないかを見守るよう勧めた。「犯人捜しよりも子どもの将来を考えることが重要です」

 子どもの権利を守る活動に力を入れてきた岩佐弁護士は、「子どもの最善の利益を踏まえ、教員が現実的にできる方策を一緒に考えることが、スクールロイヤーの役割」と話している。

 (北島忠輔)

 

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