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豊橋で英語漬け授業「イマージョン教育」 主要科目で実施は公立初

算数を英語で学ぶ授業。日本人の英語教員とALTを中心に進められていた=愛知県豊橋市の八町小で

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 愛知県豊橋市は来年度から、中心部の八町小学校で、国語と道徳以外の授業を英語で行う選択コースを全学年に設ける。英語で「浸すこと」を意味する「immersion」からイマージョン教育と呼ばれ、主要科目の英語漬けは、公立校で全国初。狙いは。

 「オン・ザ・ワンズ・プレイス(一の位では)」。米国出身の外国語指導助手(ALT)、マット・サンドビッグさんの英語に続き、児童が口をそろえた。六月にあった八町小の公開授業。イマージョンコースを選択した三年生二十人が、三けたの数の引き算を学んだ。

◆希望者が選択

 本年度は三年生の算数のみを対象にコースを設置。授業は終始、サンドビッグさんが英語で導き、授業案を考えた同市教育委員会学校教育課の稲田恒久指導主事との掛け合いで進められた。稲田指導主事は「数字は世界共通で、視覚的にも理解しやすい」と算数で始めた理由を挙げる。教材は教科書を英訳したプリントを用意、教員二人が日本語でのサポートに加わった。

◆背景に児童減

 豊橋市がイマージョン教育に挑むのは、八町小が各学年一クラスの小規模校で児童数減という事情を抱えるから。教育に特色を出し、希望すれば市内全域から通学できる英語の特認校として位置付ける。

 英語教育の蓄積も踏まえる。同市は二〇〇五年十一月、内閣府の英語教育推進特区(当時)に認定され、全市の小三以上で総合的な学習の時間の一部に取り入れ、一七年度からはモデル事業として八町小で体育や図工などの技能教科を英語で実践。言葉への反応がよく、英語を学ぶ意欲や外国人に対する関心も高い傾向がみられた。同市教委の木下智弘学校教育課長は「集大成として、英語を使って、物おじせずに表現できる子どもの育成を目指したい」と意気込む。

 懸念は基礎学力の低下。開始から間もなくだが五月、日本語で算数の単元テストをしたところ、コースと通常クラスで点数に差はなかった。来年度も、大事なポイントや社会科で学ぶ知識や概念は日本語で教えるなど「学習指導要領に沿い、学年に応じた学力を保障する」(同市教委)という。

図工の授業。ALTのかけ声のもと新聞紙を使ったくもの巣を教室に張り巡らせていた=岡山市の石井小で

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◆発祥はカナダ

 イマージョン教育はカナダで一九六〇年代に始まり、外国語を自然に習得することを狙う。国内では九〇年代以降、学年や科目を選び、私学が先行してきた。

 〇五年から公立小として先駆的に取り組んできた岡山市石井小学校は、教室の掲示や朝の放送も英語にするなど全校挙げて環境を整え、「抵抗感がなくなった」という。ただ、主要教科では実施せず、今は一〜四年生の図工で行う。竹本俊哉校長は「思考を伴う算数では、必要な単語の数も増えてハードルが高い」と指摘。準備にかかる教員の負担も考慮したという。

◆指導行き渡るか注視

 「確かにリスニングの力は伸びるだろう」とみるのは、愛知大の安達理恵教授(外国語教育・異文化コミュニケーション)。その上で「音と文字の関係が複雑な英語の読みで困難を感じる児童は一定数出てくる。多様な資質を持つ児童がいる公立校で一人一人に指導が行き渡るのか」と注視する。名古屋外国語大の佐藤一嘉教授(応用言語学)は「公立のモデル校は英語教育の底上げを担うべきだ。特別コースを設けるのがふさわしいのかどうか議論の余地はある」と指摘する。

 (福沢英里)

 

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