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教育

グループ学習に柔軟スペース 岐阜市が実践

アゴラでの授業。腰を据えて話を聞く仲間を前に、発表する側も身ぶりが増えて熱が入る=岐阜市の陽南中で

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 児童、生徒が主体的に学ぶアクティブ・ラーニングで、柱となるグループ学習をするには既存の教室は狭い−。こんな調査結果を、国立教育政策研究所がまとめた。教室での学びが多様になる中、どんな学習空間が必要なのか。全小中学校に専用室を設けた岐阜市の実践を例に考えた。

 岐阜市陽南中学校の三階。約六十五平方メートルある普通教室に比べ、一・五倍広い部屋に十枚の可動式大型ホワイトボードが並ぶ。三年生が社会科で「第二次世界大戦のきっかけは何か」をテーマに議論を始めた。

 ここは視聴覚教室をじゅうたん敷きにして造った「アゴラ」と呼ばれる部屋。古代ギリシャで、ソクラテスが日夜、激論を交わした「広場」を意味する。二〇一六年度以降、同市の全公立小中学校で、いろいろな学習に対応できるように整備された。空き教室や多目的室などを転用している。

 生徒たちは資本主義や日露戦争など、第二次世界大戦の要因別に十の班を構成。班ごとにホワイトボードがあり、各自の仮説を説明するため出来事や背景を書き出していく。車座になって話し合ったり、立ったままホワイトボードを囲んで意見を交わしたり。仲間の発表を聞きに自由に生徒が動き回る様子を、アゴラの活用を研究する松本将史教諭は「自分の意思で、乗りたいアトラクションを目指して動くテーマパークにいるよう」と表現する。

 第一次世界大戦にさかのぼって考えた岸本美優さんは、英国やフランスが脅威と思うほどの強国に、ドイツを押し上げた政治家ビスマルクに着目。「そんな発想はなかった」と驚く生徒もいて、岸本さんは「自分にない視点や発見に触れられる」と満足そう。

 思考の道筋が見えるホワイトボードがあれば、少々難しいテーマでも意見のやりとりが自然と生まれる。「自分の考えを持ち、それを人に説明すること」を大切にする社会科の水端俊教諭は、アゴラを単元のまとめに使うなど、効果的な活用方法を探っている。

     ◇

 子どもがのびのびと意見を交わせる環境とは。国立教育政策研究所が、教室の広さと、「全体」「ペア」「四人グループ」の三つの学習形態の関係を調べたところ、全体から四人グループに切り替わるときに教員が狭く感じる傾向にあった。平均三十人学級で「四、五人増えた」ような感じという。グループ討論をするのに机の向きを変えるためで、荷物や隣のグループの声などが気になるそうだ。

 担当者は「少人数授業を取り入れたり、空き教室や廊下に収納棚を移して教室内にスペースを確保したりしては」と提案する。

 調査に携わった同市教育委員会学校指導課の原浩介主幹は「一こまの授業で考えて議論し、発表までするには、学習形態の切り替えやすさも大切だ」と話す。例えばグループ学習から全体学習へ切り替える際、椅子に背もたれがなければ、体の向きを変えやすい。

 調査は一七年度から二年間、授業の改善に取り組む研究指定校を中心に、全国の小中学校約百十四校を対象に実施した。

 (福沢英里)

 

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