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<スマホ学校持ち込み 小中学生記者と親に聞く>(上) 解禁の流れ「懸念」「活用」

親機と子機に設定されたトーンモバイルの端末。子どもが歩きスマホをしていると画面をロックし、親に知らせる=東京都渋谷区のトーンモバイルで

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 今年二月、文部科学省が小中学校へのスマートフォン(スマホ)の持ち込みを現在の原則禁止から見直すことを検討し始めると発表した。大阪府ではすでに登下校時の使用に限る「一部解除」を認めている。こうした流れを受け、マナビバ編集室では、「お仕事ファイル」に参加する小中学生記者とその保護者に小中学校へのスマホ持ち込みについてのアンケートを実施。その回答を基に、三回の連載で考える。

 愛知県内の、ある小学校でのこと。一人の六年生の女子が、児童に人気の男性の担任と通信アプリ「LINE」で「友だち」になっていた。卒業後の春休み、その女子を含む女子グループと元担任は一緒に遊びに出掛けた。このことを知った同じクラスの別の保護者は「いい気持ちはしませんでした」と振り返る。

 スマホを卒業式に親に持ってきてもらい、先生と記念写真を撮った流れで「友だち」になる例は、他の小学校でも起きている。「先生との距離感も何とでもなってしまい、犯罪につながる可能性もあると思いました」と、この保護者は持ち込みのリスクを指摘した。

スマホを活用して進められる理科の授業=津市の高田中学校で

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 冒頭の小学校では、動画投稿アプリ「TikTok」で友達を撮った子が、勝手に不特定多数が見られる動画サイト「YouTube」にもアップしてしまい、もめ事になったことも。学校に限らず、子どもが集まる場所にスマホがあることでさまざまなトラブルが発生しているため、アンケートでは持ち込み以前に小学生の所持に反対する保護者が大勢を占めた。

 中学では、部活動の情報を勝手にツイッターに投稿し、周囲が迷惑したという事例があった。また、LINEの通知が気になって家庭学習に手が付かず、終わってからまとめて返信するように親が注意すると、子どもが不機嫌になったという報告も。LINEでは「既読スルー」したと思われたくないという思いから、やりとりが延々と続く。もし学校への持ち込みが解禁されれば、ネットへの依存が強まり学業に影響が出るという懸念が強いようだ。

 一方、持ち込みを前提にした動きも進んでいる。

 津市の私立高田中では、二〇一六年度にICT(情報通信技術)委員会を設置して、生徒用と教師用のガイドラインを策定。全教室に無線LANを整備し、昨年度から授業でも活用。ただし子どもに持たせるかどうかは保護者の判断で、各家庭のルールを記入した利用届を提出。持参しない生徒にはパソコンを貸す。

 三年の理科の授業では、中間考査の答え合わせにグーグルの教育アプリが使われていた。設問の解説ごとに「わかった」「わからなかった」が円グラフ化されて生徒のスマホに表示。生徒は解説を聞いて理解できれば「わかった」を入力する。匿名で質問もできる。教師は質問者を把握できる。浜口高明教諭(54)は「わからない子は手を挙げられない。わからないから学習に身が入らないということはなくせる。全員が授業に参加している感覚がある」と手応えを口にした。

      ◇

 携帯会社トーンモバイル(東京)は、親機と子機の設定ができるスマホやシムカードなどを販売。衛星利用測位システム(GPS)と連動し、学校内では子機の本体や不要なアプリを使えないように親機から制限できる。

 また、子どもの動きを検知して人工知能(AI)が分析。学校にいるはずの時間に、車に乗っているなどの異常な行動を親機に通知する。歩きスマホをしていると、画面をロックして親機に知らせる。月に一度、子どもがよく行くエリアや歩きスマホ多発エリアを親機に報告。特定の地域で子機を利用停止に設定できる。

 端末代は一台一万九千八百円で、利用料金は月額千円。利用者の三割は小中学生という。同社の工藤陽介さん(45)は「歩きスマホや学校でのゲームなどを懸念する保護者にも安心して使ってもらえる」と話す。

 (宮崎厚志、石川由佳理)

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