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小学校運動会、増える「半日」 暑さ対策や授業時間確保

運動会を半日に短縮する小学校が増えている=名古屋市内で

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 運動会を半日に短縮する小学校が増えている。暑さ対策や授業時間の確保、教員の負担軽減が理由で、保護者には賛否両論がある。専門家は「時代に合った効率的な運営を考える時期だ」と改革の必要性を訴える。

 五月の土曜日、今年から運動会を半日にした名古屋市のある小学校。閉会式に立った校長は「来年から授業時間数が増える中、どうやって運動会の練習を効率よくするかが大切になります」と保護者に理解を求めた。午前十一時四十分に会は終了。家族と弁当を食べる「いつもの光景」はなく、児童らは帰路についた。

 名古屋市教育委員会のまとめによると、今年の運動会を半日とする市立小学校は全二百六十一校のうち六割にあたる百六十四校で、昨年の十三校から十倍以上に急増。入退場時の行進をやめて最初から整列、また騎馬戦やダンス、代表児童によるリレーをなくすなどして、正午前後に終わる。

 愛知県安城市でも二十一校中、十六校が半日。昨年の九校から拡大した。ある校長は「メリットが大きいと判断した」と語る。

 今年の半日化を決めた理由を取材すると、熱中症対策を挙げる学校が目立つ。

 近年は五月でも気温が三〇度前後まで上がり、練習の時でも不調を訴える児童が出ている。昨年七月には、同県豊田市の小学一年男児が校外学習で熱中症となり死亡した。対応策を模索する中で、気温がピークを迎える前に運動会を終わらせるよう決めたという。

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 今年は、改元に伴う十連休で例年より休日も多い。年間に定められた授業時間の確保を優先すると、運動会の練習時間が取れない。教員からは「ダンスや組み体操で、みんながそろった姿を見てもらおうと練習すると時間がかかる。授業を削るのも限界だった」と短縮を歓迎する声が上がる。

 新しい学習指導要領が実施される来年度からは、高学年に英語、中学年に外国語活動が導入され、さらに授業時間が増える。それを見据え、試行の意味も含め半日にした学校もあった。

 名古屋市で急増した背景には、昨年十二月、市教委から各校に配られた「教職員の働き方改革の推進について」という通知がある。教職員の長時間労働が問題視される中、「適正な勤務時間の確保」「在校時間の縮減」のため、行事の精選などの検討を求めた。

 ある校長は「通知をきっかけに半日化を決めた。種目が減ることで準備や練習に割く時間を削る効果は大きい」と説明した。

 長野市では五十四校中、半数以上の二十九校が半日。市教委は「複数の学校が今年から決めた」と話す。

 一方、岐阜県多治見市のある小学校は、昨年、半日に短縮したことが保護者に不評で、一日開催に戻す予定。教頭は「種目が減りさびしいという意見が多かった。日陰と水分補給の時間を確保して、児童の健康を守りながら、午後も行う方向で考えている」と話す。

◆連帯感学ぶ目的、見失うな 愛知教育大・森教授

 愛知教育大で保健体育講座を担当する森勇示教授は「運動会は集団競技や表現を通して協力することを学ぶ大切な機会。半日への短縮で陸上大会のようになってしまわないか心配だ」と安易な短縮に懸念を示す。

 運動会は、学習指導要領で「特別活動」の「体育的行事」に位置付けられ、「運動に親しむ態度の育成」や「責任感や連帯感の涵養(かんよう)」などを目的としている。

 「暑さは自分で調節する力を育てることも必要だし、練習時間がかからない工夫をする余地もある。子どもたちがプログラムを考えるなど、本来の目的に沿った改革が必要だ」と話す。

 (北島忠輔)

 

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