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小中高でプログラミング本格化 民間教室はや活況、教育格差に危機感

四輪車を動かすプログラミングに取り組む児童(右)=名古屋市緑区で

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 コンピューターを動かすプログラミングの教育が二〇二〇年度から順次、小中高校で本格化される。人工知能(AI)時代に向け、民間のコンピューター教室は早くも活況だが、一方で、学校外でのパソコン環境の有無により子どもの間に差が生まれている。「将来の格差につながる」と懸念の声が出ている。

 改元に伴う十連休が始まった四月二十七日の夕方。全国で展開される子ども向けのプログラミング教室「アーテックエジソンアカデミー」のハロー!パソコン教室イオンモール大高校(名古屋市緑区)では、六人の小中学生がプログラミングに取り組んでいた。

 四月から通い始めた小学五年の松崎大吾君(10)は、ブロックで組み立てた信号機の基盤とパソコンをつなぎ、五秒ごとに点灯と点滅を繰り返すプログラムに挑戦。手元のマニュアルに沿ってマウスを操作し、三十分ほどで完成させた。「失敗もしたけど、プログラム通りに動くとうれしい。もっと覚えたい」

 教室には小中学生約六十人が在籍。モーターやセンサーを組み合わせて作ったロボットを動かすプログラミングを学ぶ。一五年に開講し、昨年から右肩上がりに受講者が増えたという。

 二週間に一度で月謝は一万八百円。大吾君の母美由紀さん(47)は「プログラミングが必修になる前にやっておけば有利になるし、ゲーム好きが仕事につながるかな、と思った」と子どもを通わせる理由を語る。

 主催の教材制作会社アーテックによると、小学三年以上を対象とした教室は全国に約千クラス。今年に入り、受講希望者は一・六倍に急増しているという。

アマゾンと連携した「IT自習室」で、ゲームソフトを使ってプログラミングについて学ぶ生徒たち=東京都新宿区で

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 こうした有料の民間教室の人気が高まる中で、教育格差が広がらないようにとの取り組みも始まっている。

 低所得家庭の子どもに無料で学習支援をするNPO法人キッズドア(東京)は四月、ネット通販「アマゾン」と連携し教室「IT自習室」を開設した。会場の都内のビルの一室を訪ねると、中学二年の男子生徒が「学校以外で触ったことがない」というノートパソコンを開いていた。

 最初の課題は、タイピング。「アジ」や「サバ」など、画面に表示される文字をローマ字入力で打ち込む。見守っていた母親は「家にはスマートフォンしかなく、民間の教室に通わせる余裕もない。ここでパソコンを使えるようになってほしい」と話す。

 IT自習室には、都内の小中学生、約三十人が登録し、週に二回通う。ゲームソフト「マインクラフト」でプログラミングの基礎を学び、最終的には、ゲームの作成や動画編集など、「自分でやりたいことをコンピューターを使って形にする」ことが目標だ。

 キッズドアの渡辺由美子理事長は「ITの時代にパソコンを使いこなすのは必要なスキルなのに、経済的な理由で学ぶ前から大きな差が出てしまう」と強調。親の経済力の格差が子の将来の格差につながると危機感を抱いている。

 (北島忠輔)

 <プログラミング教育> 2020年度に小学校の「総合的な学習」や算数などの教科で必修化、中学校ではすでに技術・家庭で導入され、21年度から内容が加わる。論理的思考力を培うことを目的とする一方、情報技術(IT)人材の裾野を広げる狙いもある。経済産業省の推計によると、30年にはIT人材が40万〜80万人不足する可能性があり、国は技術者の育成を目指している。

 

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