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「ゲーム依存症」中高生、100万人に迫る

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 インターネットやオンラインゲームのやりすぎで健康や日常生活に支障をきたす「ゲーム依存症」。スマートフォンの普及を背景に、中高生で百万人近くが該当するとみられている。わが子のゲーム依存を疑う保護者に、専門家は「無理に取り上げたりはせず、ゲーム以外に関心を向けさせて」と助言している。

 四月上旬、神戸・三ノ宮駅近くのビルの一室に四人の女性が集まった。「あなぐまの春の会」。ネットやゲームなどに熱中する子を持つ親が、互いに悩みを打ち明ける月に一度の会合だ。

 「吹奏楽部の連絡網でLINE(ライン)を使うから、と言われて端末を与えたら、戦闘ゲームにはまってしまって」。ひとり親家庭で、中学二年の息子を持つ母親が切り出した。

 しばらくは「やめなさい」と言えば、やめていた。だが、数カ月後には夜を徹してのめり込むようになった。朝、起こそうとすると「面倒くさい」と毛布をかぶったり、「助けて」と大声で叫んだりして、登校しない日が増えた。

 成績も落ち、テストの日も欠席。食事も取らずにゲームを続け、やせ細った。担任に相談したが、連れ出してはくれなかった。

 「叱れば言うことを聞くと思ってズルズルときたが、私のことを『ババア』と言ったりして、ゲームで人格まで変わってしまった」

母親がゲーム依存の子どもについて悩みを打ち明ける「あなぐまの春の会」=神戸市で

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 母親の相談に、ほかの参加者が「まずはゲームを否定しないこと」と応じた。「お母さんが仕事で家にいない寂しさがゲームにはまる背景にあったかも」

 そう助言した女性も、ネット依存に陥っている十五歳の娘の母親だ。「スマホを取り上げて治そうとしたが、逆効果だった」。やめさせようとする親の干渉がストレスになり、ますますのめり込むケースは多い。

 昨年、神戸大病院にネット・ゲーム依存の専門外来を開設した精神科医の曽良一郎教授は「患者は中高生が圧倒的に多い。親が仕事で忙しくサポートが弱かったり、反対に過干渉だったりするなど、居心地がよくない家庭環境が背景にある場合が多い」と説明する。

 夜遅くまで夢中になって、学校の成績が低下してくると黄信号。そんな時に「ネットやゲームばかりするからだ、と責めても解決にはつながらない」と曽良教授。「現実を避けてネットの世界にのめり込む背景があることを理解し、時間をかけてゲームやインターネット以外に目を向けさせることが大切」と話す。

 ゲーム依存症への対策は始まったばかり。親が悩みを打ち明けられる場も少ない。名古屋市の女性(50)は、不登校の子を持つ親の会に参加して、同じ苦悩を抱える親が多いことに気が付いた。

 十八歳の息子は三年ほど前、友人とのトラブルで自室に引きこもるようになった。「パソコンを買ってくれたら生活を変える」と言われて与えたが、定時制高校に進学後、一カ月で不登校となり、退学。「ネットの世界しか知らない息子はこの先、どうなるのか」

 行政も地域差がある。兵庫県は地元の公益財団法人と連携して、子どもたちがネット環境のない離島で生活する「オフラインキャンプ」を開催。だが、多くは「まずは相談件数をまとめ、現状を把握する」(愛知県)など、手探り状態だ。

 (北島忠輔)

 

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