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教育

中卒資格ない外国籍の子、公立高出願に高い壁

ひな祭りなど日本の行事について学ぶ外国人の生徒たち=愛知県豊田市の豊田産業文化センターで

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 外国人労働者の受け入れを広げる改正入管難民法が今月、施行されたが、外国人生徒に十分な学びの場は保障されていない。母国で中学校を卒業せずに来日した若者は、日本の公立高校の出願資格がなかなか認められない。就労までを見据えた長期的な学習支援が必要だ。

 愛知県豊田市で外国籍の子どもを支援するNPO法人「トルシーダ」が開く日本語教室。3月初めに訪れた時は、ひな祭りなど日本の行事を学んでいた。

 母国の中学校を卒業していない若者も少なくない。その一人、中国人の李鳳軒さん(16)は「日本で働くには高校を出ておかないと」と4月から、愛知県などが設け中卒資格を取ることもできる中学夜間学級にも通い始めた。将来、中華料理店を日本で開く夢をかなえるためだ。2年前にフィリピンから来たアルファロ・レイ・アナさん(17)も日本でエンジニアとして働くのが望み。昨年、中卒認定試験に挑戦したが、一部の科目で不合格。夜は中学夜間学級に通い、工業高校進学を目指す。

 トルシーダは2000年、15歳以上を対象に有償で日本語教室を始め、約280人を受け入れてきた。高校無償化が始まった10年以降、生徒数が増え、毎年30人前後が学ぶ。高校進学者が61人、就職もほぼ同数いるが、中卒認定試験の受験者は18人。「高校へ行きたい生徒は増えているが、日本語の壁が高く、中卒認定試験に1回で合格するのは難しい。経済的な理由から翌年まで待てず、進学を諦める者も少なくない」と代表の伊東浄江さん。

 文部科学省によると、保護者に日本国籍がない場合、子への就学義務はなく、高校入学に日本の中卒資格が必要とは限らない。学校教育法施行規則によれば、高校長が中卒と同等以上の学力を認めれば受験できる。だが、各地の教育委員会は、中卒資格を求めているのが実態だ。日本の外国人学校中等部は同法の定める中学校にはあたらない。

 16年の文科省調査で、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒が全国最多の約7200人いた愛知県。県教委は「実情に応じて協議している」と説明するが、中卒資格のない外国人の高校受験を認めた例はない。公立中学には約1900人の外国人生徒が在籍するが、県立高校は約12%の242人にとどまった。

 外国人学校卒業者の高校受験について、外国人労働者の多い静岡県教委は「生徒から毎年、問い合わせがある」として「国や他県の状況を見ながら検討する可能性も出てくる」と話す。「前例がない」(富山、石川県教委)、「年度途中でも中学校編入が可能かどうかを市町村に相談してもらっている」(長野県教委)など、対応はまちまちだ。

 外国籍の子どもの教育支援に携わる愛知淑徳大の小島祥美准教授は「高校受験という入り口に立てるよう公的な支援や制度が必要だ。それは学齢期に不就学だった外国人生徒の学び直しにつながる」と強調する。

◆自治体で異なる高校受験の配慮

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 試験時間延長などの特別措置や入学枠の設定など、外国人生徒の高校受験への配慮は自治体により異なる=表。

 愛知は9つの高校に「外国人生徒等選抜」という入学枠を設定。2019年度入試は志願者42人中30人が合格し、02年の制度開始以来、初めて30人を超えた。長野は国語と社会を作文と面接で代替。関東では東京は問題の漢字にルビを振り、辞書持ち込みや時間延長もある。神奈川は面接時に「分かりやすい言葉でゆっくり話す」。

 (福沢英里)

 <高校の入学資格> 中学校、特別支援学校、中等教育学校の前期課程修了、外国の学校教育の9年の課程修了など学校教育法で定めている。こうした要件を満たさない場合は、年1回の国の中学校卒業程度認定(中卒認定)試験に合格するか、夜間中学に通い卒業資格を得る必要がある。公立夜間中学は全国に33校ある。中部9県にはない。

 

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