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教育

<春 スタートする君へ>(5) 大空小学校初代校長 木村泰子さん

木村泰子さん

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 すべての子の学習権を保障する大空小学校の校長をしていた九年の間に、他の学校に、ほとんど行けなかった子が、多く引っ越してきました。

 ある子は給食が食べられず学校に行けなかった。食べ物にこだわりのある、その子にとって偏食をなくす指導は苦痛でしかなかった。その子が学校に来るために、どうしたらいいかを皆で考え、食べられる白いご飯だけを出すことになった。感覚の違いを認め、誰もが安心して来られる学校をつくろうと思いました。

 こういう対応は本来、すべての学校で行わなければならないのに、これまでは違いました。「みんなのためにおまえを合わせろ」という教育でした。合わせられない子は発達障害などとレッテルを貼られて排除される。皆で同じことをして、物をたくさん作って豊かになる五十年前は、それが意味を持った。今は違う。上司の言うことを聞くだけの若者を企業は求めていない。社会が変わっているのに、学校がついていけていません。

 でも、学校は変わりつつあります。大空小学校のような学校が次々と出てきた。この一年で随分動いた。まだ変わっていない学校も、一気に変わるでしょう。周りと違い、「普通」でないからと苦しんでいる子には、どんなことがあっても死ぬなと伝えたい。学校も変わるし、皆さんが出ていく五年後、十年後の社会は「普通」でないから排除される社会ではなくなるはず。

 「普通」なんて言葉で排除をする学校はもう要らない。友達との違いから学び、自分の個性も、隣の人の個性も大事にするのが、学校です。

 (聞き手・佐橋大)

 =おわり

 <きむら・やすこ> 1970年に教員となり、2006年の開校時から大阪市立大空小学校長を9年間務めた。同校は映画「みんなの学校」の舞台。

 

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