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健康情報、見極める授業 元養護教諭、中学での実践まとめる

ワークブックを手に健康情報の自己判断について話す森慶恵さん=中日新聞社で

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 インターネットにあふれる健康情報から、信頼できる情報を選ぶ力を、子どもたちが身に付けるには、どう指導したらいいかを、養護教諭として研究してきた人がいる。四月から、鈴鹿大子ども教育学部(三重県鈴鹿市)で講師を務める森慶恵さん(53)。五年にわたり愛知教育大付属名古屋中学校(名古屋市東区)で行った授業の実践から、指導の方向性を見いだした。

 研究を始めたのは、森さんが名古屋市の小学校から付属名古屋中に異動した二〇一四年。最初に、古田真司・愛教大教授(養護教育講座)と共同で考案した五択式のテストで、生徒たちの「批判的思考力」を測った。健康情報を吟味する力だ。すると、学年による差は見られなかった。学校で学ぶ知識が増えても、健康情報の判断力は自然には高まらないことになる。

 得点の高い生徒を分析すると、専門家や口コミの情報をうのみにせず、情報の根拠を見て信頼性を判断する傾向が強いことも分かった。そこで、「健康情報を判断するこつを知った上で、情報を吟味する練習が必要」と推測。一昨年、保健体育の保健の一時間で行う次の授業法に行き着いた。

 生徒に健康情報が載った四つのウェブサイトを示し、その信頼性を考えさせる授業だ。たとえば、(1)子どもが自由に寄せた健康相談への回答(2)健康情報のまとめ(3)健康食品(4)医師の著述。性格の異なる情報を題材として示すのがポイントという。

 「何のために書かれた情報か」「違う情報と比べたか」といった、健康情報の信頼性を判断する際の要点=図=を伝えた上で、要点に従って題材を読み込む。四つの情報の信頼性について生徒に話し合わせ、その後に、判断する際の要点を伝えてもいい。いずれも、授業後には、批判的思考力を測るテストや健康情報の判断力テストの点数が、しない場合に比べて高くなった。授業で使えるワークブックも作成した。

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 「中学校で健康情報の判断力を養いたい」と森さんが考えるのは、中学生は、批判的思考ができる発達段階だからだ。スマートフォンを使って、さまざまな情報を閲覧する機会が増える時期であることも考慮した。「健康に関する情報は、どんどん新しくなる。知識を一つ一つ教えていては時間がいくらあっても足りない。自分に必要な正しい情報の選び方を伝えることが生徒たちのためになる」と森さんは話す。

 中学校の保健体育の保健では、健康と環境のかかわりや病気の予防などを学ぶ。森さんは、こうした従来の学習の一環で、健康情報の見極め方について学ぶことを提案している。

 森さんは「さらに授業法を工夫していきたい」という。そのためのデータの提供に協力することを条件に、ワークブックや指導案を、希望する教員に配布する。問い合わせは、森さんの電子メール=moriy@m.suzuka-iu.ac.jp=へ。

 (佐橋大)

 

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