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教育

時期別に目標、行事を整理 負担軽減へ先生の働き方改革

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 長時間労働が問題になっている教員の働き方改革。時期ごとの指導の目標を明確にし、行事の見直しやスリム化を進める学校もある。一歩踏み込んだ取り組みで、改革を進めるヒントになりそうだ。

 岐阜市の加納小学校は二〇一八年度、森透校長の発案で一年を六つの時期に分け、それぞれの時期に指導ではぐくみたい心情を明確にした。例えば四、五月は、学習の基本として、児童が新しいクラスに慣れ安心感を得るのを第一とした。六、七月は「信頼感」、十二、翌年一月は「達成感」といった具合だ=図表。

 遠足などの行事も、各目標に沿って行う。「目的を明確にしないと、教師は、教育効果を理由に、あれもこれも詰め込んでしまい、行事が大きくなる。重点を明確にすることで、細かい行事の見直しも進んだ」と長屋和宏教頭は話す。

 目標との関連が不明確な、全校集会での各学年の学習発表は廃止した。年に数回ある上、準備や指導に休み時間を費やすことも多く、教員の負担になっていた。九月の運動会では、万国旗の代わりに会場を彩る「万顔旗」を廃止。似顔絵と、児童が各自の目標を書いた紙を旗として飾る伝統の取り組みだが、この時期の「一体感」をつくる目標からは外れる。旗を飾るために教員が早朝から出る負担なども考慮し、取りやめた。

 教師の多忙を解消することが「子どもたちのためになる」との認識も教員間で共有。勤務時間が長くなりがちな教員には、管理職が月半ばに、個別に退勤時刻の目安を伝えるようにした。その結果、四〜十二月で、月平均約六時間の残業が削減できた。一番大切にしたい児童との対話の時間も十分取れているという。

       ◇

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 教育研究家の妹尾昌俊さんによると、過労死ラインの月八十時間超の残業をしている教員と、そうでない教員で、業務分野ごとに費やしている時間を比べると、学校行事以外にも「授業準備」「成績処理」「試験の作成・採点」「提出物の確認」などで、月八十時間超の教員の方が大幅に長かった。「独自に授業のプリントを作ること自体が目的化していないか、本当にかけた時間に見合う教育上の効果があるかを考えるなど、教師にとって当たり前だったことを見つめ直すといいだろう」とする。

 差は小さいが「給食・掃除などの指導」「朝の業務」「会議・打ち合わせ」も、例えば掃除を毎日でなく、週三日にするなど、スリム化できるという。

 各学校は、行事の精選以外にも、夜間の留守番電話の活用や地域との連携強化などの改革を進めている。ただ、愛知県の公立小学校(名古屋市を除く)で昨年十一月、月八十時間超の残業をする教員が、前年同期より1・1ポイント増え10・7%になるなど、改革の効果が頭打ちとの指摘もある。

 妹尾さんは、「小学校の英語の教科化など、学習指導要領の改定のたびに教える内容や時間が増え、多忙化の責任は文科省にもある」とした上で、「学校の裁量は大きい」と指摘。各学校が行事や部活動のねらいを再確認し、行事のスリム化を図る余地はまだ大きいとした。

 (佐橋大)

 

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