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<春 スタートする君へ>(3) 慶応大教授(財政社会学) 井手英策さん

井手英策さん

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 目上の人を敬うのは大事です。でも大人の言う通りに行動しても、幸せになりにくい時代です。

 僕が大学生だった平成の初め、同級生は「三十歳で年収一千万円」と言って就職活動をしていました。平成が終わろうとしている今、慶応の学生に尋ねると、「三十代で七百万〜八百万円もらえればよいのでは」と答えます。親が子どもを塾に行かせるのは、有名な学校に進めば将来が安心と思うから。でも、昔のような収入はもう望めません。

 年収が九百万円を超えると「生活の満足感」が下がるとの調査もあります。大人は子どもに豊かになることを求めるけれど、実現は難しいし、できても幸せになれるわけじゃない。大人の成功の記憶と子どもたちのリアルが食い違っている。だから、与えられた選択肢から選ぶのではなく、幸せになるための選択肢を自分たちでつくってほしい。皆さんには、その力がある。

 少し前、ある小学校で授業をして一緒に給食を食べることになり、「どの班で井手先生が食べるか」で子どもたちがもめた。手を洗いに行って戻ったら、大きな机の輪ができていた。皆が幸せになる選択肢をつくったのです。涙が出ました。

 勉強は大事。でも、与えられた選択肢の中で競い合っても、全体が地盤沈下していて、頂上の見張らしは良くならない。しかも競争に負ければ、努力した時間が無駄になる。そんなのおかしい。自分で考え、判断し、行動する。そうすれば、失敗しても納得できるし、地盤沈下もきっと止められる。未来は「ある」んじゃない。「創る」んです。

 (聞き手・諏訪慧)

 =次回は4月14日掲載

 <いで・えいさく> 1972年生まれ。増税と、保育や教育など手厚い公的サービスを備えた社会の仕組みを提言。著書に「幸福の増税論」(岩波書店)など。

 

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