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教育

指導法工夫し、児童のつまずき回避 アルファベットの書き取り

班をつくり、手本を見ながらローマ字を書くしりとりに挑戦する児童=愛知県小牧市の米野小で

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 2020年度完全実施の新学習指導要領で教科となる小学校の英語は、5、6年生で、「読む、書く」活動が増える。ただ、最も基本的なアルファベットの書き取りには、児童が難しく感じるポイントがいくつかある。現場では、つまずきを避けようと工夫が重ねられている。

 aiueo kakikukeko。愛知県小牧市の米野小学校で一日、三年生が、一学期に学んだアルファベットの書き取りを復習していた。班対抗のしりとりゲームで、名前や地名が書けたら三点、「kya、kyu」は四点と、難易度で点数をつけ、時間内に書いた語句の合計点で競った。

 小学生が最初にアルファベットに出合うのは、三年生の国語で学ぶ「ローマ字表記」。五年生の外国語活動でも、文と共に文字も書けることが目標だ。

 「子どもたちが、楽しく親しめるようにしたい」と担任の舟橋菜津美教諭は、ノートの四本線(四線)に名前を付けて=表、アルファベットをバランス良く書ける位置を児童に伝える。上から三本目は「地面」、二本目は「一階」。それでも「kingyo」の「g」を一番上の線から書き始めるなど、児童の習熟にはばらつきが出る。手本を書き写すのに時間がかかる児童もいて、班の仲間同士、声を掛け合う姿も見られた。「kippuなどで、小文字を重ねるのを忘れる」「kyappuと書きたかったのに、kappuになっちゃった」など難しいと感じるポイントもさまざまだ。

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 アルファベットの書き取り用に、独自のワークシートを一年かけて開発したのは、三重県名張市のつつじが丘小学校。どの児童も達成感が得られるよう、三つの段階を踏んで学ぶ。まず一本の線上に書く▽二本線の間に書く▽最後に四線上に書く−という流れ。特に位置を定めるのが難しい小文字は、一文字ずつ念入りに練習する。二〇一八年度は三年生以上で使った。

 山本和弘教頭は「高学年で『読む、書く』の領域が増えると、最初の丁寧な指導がより必要になる。誰もが分かる、できる英語学習の手だてとしたい」と次期学習指導要領も見据える。

 英語の特別支援教育が専門で、ワークシートの開発に協力した神戸山手短大(神戸市)の村上加代子准教授は「子どもにとって文字の音と形を結び付けて覚えることは、化学の元素記号を覚えるぐらい難しいと、先生は理解しておく必要がある。子どもが得意な学び方はそれぞれ。先生が学び方の選択肢を用意することが大切」と強調する。

流し台や太鼓のイラストに文字を重ね、gとdの文字を区別する工夫=大阪府枚方市の平野小で

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◆絵文字で識別しやすく

 なぜアルファベットの書き取りで習熟のばらつきが生まれるのか。児童の困るポイントを分析し、教え方の選択肢を用意して指導に生かしているのが、大阪府枚方市で英語教育指導助手を務める行岡七重さんだ。

 同市内の小学校で担任主導の外国語活動をサポートして十三年。「滑らかに鉛筆を動かせず、つまずく児童がいる」と行岡さんはみる。アルファベットには仮名文字や漢字にはない動きがあるからだ。ひらがなは、「あ」「お」などの円の部分を時計回りに書くが、アルファベットには「c」「d」「q」など、逆向きに書く動きがある。こうした新しい動きに慣れる時間が必要な児童もいる。

 「bとd」などの鏡文字や、「nとm」など形が似ている文字の識別が難しい児童もいる。そうした場合は、似ている文字を同時に扱わず、絵などのイメージで見せる教え方の工夫をしている。行岡さんは「最初は四線上に正しく美しく書き写すことを求めず、相手に伝わるように書くことが大切と伝えて」と注意を促す。

 鉛筆と消しゴムで書いて消してを繰り返すのがストレスになる児童には、クリアファイルに四線のワークシートをはさみ、ホワイトボード用のペンでファイルの上から書けば、気楽に何度でも練習できる。

 紙に書く以外に、紙粘土をこより状に細く延ばしてアルファベットの形を作る▽砂の上に指で書く▽自分の指や体を使って文字の形を表す、といった方法もある。行岡さんは「つまずいてから対処するのではなく、難しく感じるポイントを前もって把握して複数の学び方を用意し、つまずかなくて済むようにしたい」と話す。

 (福沢英里)

 <次期学習指導要領に基づく外国語活動と外国語の年間指導計画例> 文部科学省が示した例。英語で3、4年生は基本的な表現を聞いたり言ったりする音声中心の活動をする。アルファベットの大文字、小文字を識別し、読み方に慣れ親しむことも含まれる。5、6年生では大文字、小文字の書き方が分かり、自分の考えや気持ちを理由も交えて伝え合う。卒業までに600〜700程度の言葉の習得が求められ、将来就きたい職業について、簡単な語句や基本的な表現で書かれた例を参考に書く場面も増える。

 

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