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振り返りで成長評価 新聞学習の効果

新聞学習で学んだことを話し合う村井碧都さん(中央)ら建設工学科の生徒=岐阜県関市の関商工高で

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 新聞を使った学習の課題は、その効果をどう測るかだ。岐阜県関市の関商工高校では、新聞学習による生徒の成長を自己評価による振り返りなどを通して把握。建設業に関わる就職や進学希望が多い特性に合わせ、進路の実現にもつなげている。

 「いつもの授業よりよっぽど楽しかった」。今年一月、関商工高校の新聞学習で建設工学科三年、村井碧都(あおと)さんが感想を漏らすと、教室中が沸いた。「新聞切り抜き作品コンクール」(中日新聞主催)に出品した作品を掲げ、制作過程を発表する振り返りだ。

 三人で挑戦した作品は「技術の進化」がテーマ。メンバーの安田橘平さんは「IT系に強いのは知っていたけど、人が変わったようだった」と村井さんを見つめた。村井さんは、苦手な数学の授業は「聞いても分からない」とつい居眠り。「座って受ける授業はどうしてもやる気になれなかった」

 そんな姿勢は新聞を使った授業に出合い、影をひそめた。新聞を開けば凝縮された情報がある。仲間と記事を集め、各自の得意な力を発揮して切り抜き作品に仕上げる楽しさも知った。村井さんは見出しのデザインを提案し、技術を歯車に見立て、歯車がかみ合って進化するイメージを形にして持ち味を見せた。

 「一つでも多く世の中のことを知っていれば、その話題を共有して人との接点を広げていける」と学ぶ意義に気付いた村井さん。市内の建設会社に就職が決まり、「職場の仲間とコミュニケーションを取れる人になりたい」と意気込む。

 勉強嫌いの村井さんについて担任の浅野伸保教諭は「一対多数の従来の授業では、勉強への意欲を引き出せず、限界を感じていた」と明かす。NIEを実践して四年目の経験を生かし、新聞学習に向かう姿勢を的確に評価できるよう冒頭の振り返りの時間を設けた。

 二〇一八年度、「土木を学ぶ生徒の防災教育」というテーマで、土砂災害の危険性を伝える新聞記事を使ったプリント学習などにも取り組んだ生徒たち。浅野教諭が自作した「振り返りシート」=表=に、自身の成長を書き込んだ。就職試験や面接で「新聞学習を生かした」と十七人中半数近くが答えた。中日本高速道路(名古屋市)に就職する遠藤朋弥さんは、防災の記事を読み込んだ経験から「面接でインフラ整備の必要性を訴えた」と話す。

 切り抜き作品についても、チェックポイントが記されたシートに基づき自己評価。クラスメートの発表を聞いた後に相互評価もして、多角的に振り返った。

 岐阜県関市の土木技術職員として働く予定の浮中ひよりさんは「記事をすべて読まなくても、キーワードを探して要旨を考える力が付いた」と自信をのぞかせる。「今後は市民との関わりも増えるので、新聞を読んで知識を付けたい」

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◆小6時の新聞、中1で再作成

 鹿児島大(鹿児島市)で昨年十一月に開かれた日本NIE学会の大会でも、児童生徒が学びを振り返る新聞学習と課題が報告された。

 公立小中学校が一貫で「ふるさと・コミュニケーション科」を設けている鹿児島県薩摩川内市。郷土新聞「薩摩川内市への提言」を小学六年時に作り、中学一年時に作り直す活動を川内中央中が発表した。活動では、友達の評価を受けて納得したことや、新聞作りでもっと知りたいことなどについて自己評価もした。

 二つの新聞を比べると、提言の根拠がわかりやすく示されるようになるなど質が良くなった。また、同県の学習定着度調査では国語の無回答数が減り、正答率が上がった。同中国語科担当の姥英一郎教諭は「全体的に表現力は向上した」と評価しつつ、「新聞学習による効果かどうかの判断は難しい。別の課題や場面を用意して調べる必要がある」と述べた。

 (福沢英里)

 

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