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広がる情報モラル教育 個人情報流出、ネット依存…

子どもたちにスマホの普及率が上がっている資料を示す大塚教諭=愛知県知立市の知立西小で

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 スマートフォンが子どもにも普及する中、小中学校や高校は、子どもたちの成長に応じた情報モラル教育を進めている。複雑そうに見えるが、基本的な道徳心の育成と、インターネットの特性の理解が二本柱という。

 愛知県知立市、知立西小学校の五年三組は「小学生もスマホを持つことをどう思うか」について話し合った。「必要ない。知らないボタンを押して、お金を取られるかもしれないから」「ルールを作れば持ってもいいんじゃないか」「これからはコンピューターの時代。持つべきだと思う」

 担任の大塚悠矢教諭は、前の時間までで学習した、会員制交流サイト(SNS)に上げた写真から個人情報が流出する危険性や、ネット依存の弊害を思い起こさせた上で、スマホを持つとしたら、どんなルールが必要かを子どもたちに話し合わせた。話し合いを通して、スマホの功罪の認識を深めた。児童の一人は授業の振り返りで「スマホを持ちたかったけど、もう少し後でもいいかと思った」と話した。

 情報モラル教育は、情報社会で生活するのに必要な知識や態度を身に付けるために行う。同小の五年生は総合的な学習の時間に、下級生に分かるように校外学習の紹介資料を作るなど、パソコンを通した情報の活用を学んだ。その流れで、大塚教諭は、五年生でも関心が高まっているスマホを題材に、情報モラルを考える授業を展開した。

       ◇

 学校での教育内容を定める学習指導要領では、改定ごとに、情報モラル教育の占める割合が増えている。

 小学校で二〇一一年度、中学校で一二年度に始まった今の学習指導要領は、ともに情報モラルを身に付けることを総則に明記。道徳では「情報モラルに関する指導に留意すること」との記述が加わり、小学校で一八年度から使われている教科書には「個人情報をむやみにネット上に公表しない」といった内容が含まれている。携帯電話の会社の社員や警察官を講師に呼び、SNSを使う際の注意点を子どもに考えさせる学校もある。

嫌だと思う順番に上から並べたカード。人によって嫌だと思うことは違う=愛知県刈谷市の愛知教育大で

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◆ネットの特性知り道徳心育てる必要

 情報モラル教育の基本は何か。教員免許の更新講習から考えた。

 昨年十二月下旬に愛知県刈谷市の愛知教育大で開かれた講習では、教員たちが、「すぐに返信がない」「自分が一緒に写っている写真を公開される」などと書かれた五枚のカードを前に、「友達からされて嫌なこと」を話し合っていた。

 「写真の公開」が嫌という人もいれば「話をしているときに、ケータイ、スマホをさわっている」を選ぶ人も。これは、実際に、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を運営するライン社が出前授業用に開発した教材。「人によって嫌だと思うことは違う」という一般的な道徳が、情報機器が絡んだ場面にも当てはまることを感じてもらうのが狙い。何げない行動が相手を怒らせる可能性を知る。

 もちろん、これだけでは不十分。愛教大の梅田恭子准教授によると、発信した情報が容易に広がる「拡散性」や、一度発信した情報は取り消せず、発信の記録が残る「記録性」といったインターネットの特性を理解することが必要という。

 それによって、「個人情報を安易に発信しない」といった、取るべき行動が適切に判断できるようになる。「単純に『危険』というだけでなく、情報社会とどう向き合うかを考えさせることが大事」と梅田准教授は話す。

 (佐橋大)

 <児童・生徒のスマートフォン保有率> 内閣府の実施する青少年のインターネット利用環境実態調査によると、2017年の携帯電話・スマホの所有率は、小学生で55・5%、中学生が66・7%、高校生が97・1%。伸びが著しいのは小学生で、過去5年で倍以上に増えた。

 

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