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教育

ユニーク授業で主体性育む 愛知・東浦町の緒川小学校

オープン・タイムで競技かるたの練習も=愛知県東浦町の緒川小で

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 国は、複雑化する時代を生きる力として、自ら目的を設定し、実行する「主体性」を重視し、それが身に付くように、各校が教育課程を工夫するように求めている。愛知県東浦町の緒川小学校は、長年、工夫を凝らし、主体性を育む教育を続けている。

 昨年十二月上旬、緒川小学校(児童数五百二十五人)では、「オープン・タイム(O・T)」と呼ばれる時間に、四〜六年生の児童たちが、それぞれに好きな活動をしていた。体育館でバスケットボールのシュート練習をする子もいれば、競技かるたの練習をするグループも。ミシンで、バトンケースを作った六年の新垣陽菜さんは「やらされるのでなく、自分で考えて、作るから楽しい」と話す。

 O・Tは年十六こま。特別活動や総合的な学習の時間を充てている。児童は、活動内容や準備するものを書いた計画表を作り、毎回振り返る。教師も関わり、改善点が見つかれば改善し、目標に近づくよう努力する。「計画、実行、チェック、アセスメント(評価)のサイクルを回し、計画力と実行力を養うのが、オープン・タイムの本質」と青木俊教務主任は説明する。

 授業にも特徴がある。二こま(五分の休み時間を含め九十五分)を一ブロックとし、一日三ブロック制に。チャイムもなく、児童が納得したところで次の教科の学習に替わる。

指定された動画をパソコンで検索して視聴し、リポートをまとめる=愛知県東浦町の緒川小で

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 固定の時間割もない。季節や児童の関心に合わせた授業をしたいとの思いからだ。例えば、国語で「はたらく車」の文章の単元があれば、その後に、関連した工作をする図画工作を組み込む。次週の時間割は、金曜朝に担任が伝える。学校週五日制が始まる二〇〇二年より前には、教師と児童が話し合い、決めていた。

 今年一月中旬、五年生は「週間プログラムによる学習」をしていた。三年生以上で随時行う学習法で、このときは十二こま分の学習計画を一人一人が立てて、社会科と理科で与えられた課題に取り組んでいた。

 資料や本、掲示物をどう使ってもよく友達との相談、学級を超えた行き来も自由。教師は、学びが広がる教材を随所に置き、深化を促す。課題も、単一でなく、発展的な内容を学びたい子のためにも設定している。インターネットの指定の動画を見て、その内容や考えをまとめる社会科の課題をしていた飯田桃子さんは「自分のペースでできるのがいい」。児童は課題が完成するごとに教師に見せ、指導を受ける。

 同校では低学年から、児童一人一人の反応に教師が敏感に対応し、個への投げかけを徹底。一人一人に、能動的に考える習慣が身に付くようにする。児童会活動に当たる活動も、主体性を育む場。活動は「おがわっ子独立国」、児童会長の役職は「大統領」、役員は「首脳部」、委員会活動は「自治活動」と呼ぶ。教師は指示せず、児童らが相談し、活動を決める。

 取り組みの源流は四十一年前にさかのぼる。当時、教室と廊下の間の壁がない校舎に改築したのがきっかけだった。その環境を生かし、「子どもたちが主役」と考えた改革が進んだ。青木教務主任は「学習指導要領は、最低限教える内容、時間の制約があるが、方法はかなり工夫できる」と指摘する。

「人のたんじょう」について、掲示物などを読み込んで、学ぶ=愛知県東浦町の緒川小で

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 名古屋大大学院教育発達科学研究科の久野弘幸准教授によると、教育で主体性が強調されるようになったのは二十〜三十年ほど前からで、科学技術の進歩に伴い、その必要性を指摘する声は強まっている。

 〇〇年には、主体的に判断し、問題解決する力を育む「総合的な学習の時間」が導入された。〇七年の学校教育法の改正では、「主体的に学習に取り組む態度」が、知識や思考力などと並ぶ学力の三要素として位置付けられた。

 二〇年度に小学校で完全実施される次期学習指導要領では「主体的な学び」がこれまで以上に強調されたほか、各校が、教育目標に向けて教育課程を工夫する「カリキュラム・マネジメント」の実施を求めている。久野准教授は「緒川小の取り組みに、時代が追いついてきた」と指摘する。

 (佐橋大)

 

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