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小中学校の事務「共同化」 専門性向上、効率化に期待

共同で書類のチェックをする学校事務職員=愛知県稲沢市の国分小で

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 全国の小中学校に広がっている学校事務の共同化。近隣の学校の事務職員が定期的に集まって、共通の業務を効率よく進め、知識や経験も共有して専門性を高めるのにも役立つという。昨年の学校教育法の改正では、事務職員に、専門性を生かして学校運営により深く関わることが求められた。

 十一月下旬、愛知県稲沢市国分小学校の会議室で、同校を含む小中七校でつくる「稲沢西ブロック共同学校事務室」の事務職員七人が作業に励んでいた。集まる頻度は月一、二回。この日は主に、年末調整申告書を複数の職員がチェック。職員一人より正確さが増す上、若手職員は経験が積めて、処理スキルの向上につながると期待されている。

 稲沢市は三年前、市内全域を五ブロックに分け、それぞれ複数校の事務を共同処理する「共同実施」の体制を整えた。教材や物品などの発注をまとめることで調達コストをどれくらい下げられるかなど、予算の議論を活発にする資料を協力して準備。効果的なお金の使い道に知恵も出し合う。

 「事務職員の連携が、教育環境の整備に生かされている」と、共同学校事務室長を務める小川卓也・稲沢西中学校総括事務長は話す。

 学校の運営に積極的に関わる事例は、十一月上旬、市内で開かれた東海地区公立小中学校事務研究会の研究大会(会長・近藤和子愛知県東海市横須賀中学校総括事務長)でも報告された。

 三重県名張市では、共同実施組織の提案で各校の備品をパソコンで検索できるシステムを整えた。紙ベースで管理されていた備品情報を協力してデータベース化し、使用頻度の低い物品の貸し借りで活用して、物品や予算の効率的な運用につながっているという。暖房の灯油代を複数校共通の予算とし、無駄を減らす仕組みも市教育委員会に提案して実現した。

     ◇

 こうした共同実施は、今年四月の文部科学省の調査で、全国の市区町村教育委員会の63・8%がしていると回答している。背景には学校事務の複雑、多様化が進んできたことがある。

 きっかけは、「総合的な学習の時間」の導入だった。学校で判断する業務が増えることが予想されるとして、中央教育審議会が、事務効率化のため文部省(当時)に実施を求めた。二十年前のことだ。

 その後も、多様な職種や地域との連携などが学校活動に加わり、事務は複雑に。教頭らの業務が増え、教員の多忙も問題視されるようになった。

 愛知教育大の風岡治准教授は「事務職員にも、総務・財務の専門家として学校運営に積極的に関わってもらい、校長、教頭を補佐してください、というのが今の方向性だ」と説明する。

 昨年三月の法改正では、共同実施が「共同学校事務室」として法律上の制度に格上げされ、事務職員の職務が「事務に従事する」から「事務をつかさどる」に変更された。

 「子どもたちの豊かな学びのため、事務職員が、共同学校事務室を基盤に、学校の業務改善など、より高度な事務に取り組む方針を国が明示した」と風岡准教授。事務職員の学校運営への参画の意識を高め、新たな役割への理解を広げることが課題という。

 期待は大きいが、負担が過剰にならないよう配慮も必要だ。東海地区公立小中学校事務研究会の研究大会で、教育研究家の妹尾昌俊さんは「何でも事務職員という発想では限界がある」と指摘。事務の無駄を省き、給与関係の事務など現在行っている業務を教育委員会で集中処理することも検討すべきだと案を示した。

 (佐橋大)

 <小中学校の学校事務職員> 校内で唯一の行政職で、原則各校に1人。自治体により異なるが、学校の備品や教材の発注、管理といった総務的な仕事や就学援助、学校集金、教職員の給与、諸手当、旅費精算などを担当する。

 

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