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教育

学校図書館が結ぶ学びと新聞

切り抜き作品作りに使う新聞を選ぶ子どもたち=愛知県碧南市の西端小で

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 学校図書館を拠点に、新聞を子どもたちの学びに生かす取り組みがある。書籍や資料などがそろう図書館は、同じく情報を扱う新聞となじみが深いからだ。ただ学校司書の配置は自治体によってばらつきがあり、どの学校でも実践できる環境にないのが実情だ。

◆記事から読書につなげる

 愛知県碧南市の西端小学校。一階にある図書室は入ってすぐ左のテーブルに、全国紙二紙と経済紙、ブロック紙の中日新聞が段ボール箱に仕分けされている。先月二十九日、新聞切り抜き作品作りに取り組む六年生がお目当ての新聞を取りに来た。「外国から見た日本の経済」「祭り」など、テーマに沿った記事を集め、模造紙に貼り付けた。

 同小は四年前、県NIE実践指定校に選ばれて以来、複数の新聞を購読。毎水曜日を「新聞を読む日」と決め、始業前の朝時間に中日新聞の日曜朝刊に掲載される「新聞わーくシート」に取り組む。新聞記事から作った質問と答えが載り、楽しみながら読み解く記事だ。学校司書の棚田まなみさんは、それをB4の紙に印刷し、自作の学習用ワークシートを用意している。

 ビザを出してユダヤ人難民を助けたことで知られる外交官、杉原千畝の記事が使われたときは、伝記が図書室にあることを紹介。関連記事をシートの裏に印刷して「読んでみよう」と呼び掛けたことも。カワウソの記事の際は、カワウソにまつわるクイズを校内に掲示。新聞を読む、読書するといった習慣につながるよう工夫を凝らす。三学期になると、高学年は新聞投稿欄の意見文を書き写す作業に挑戦するので、その準備も棚田さんの役目だ。「社会の動きに目を向けてもらう機会になれば」と自らも複数の新聞に目を通す。

◆情報収集と活用

 静岡県磐田市豊岡中学校の司書教諭萩田純子さんは生徒の情報活用能力を高めようと取り組む。図書館の資料や新聞を使う教科と学び方の目安を学年ごとに整理し、各教科の担当教員に伝えている。

 例えば前任校では、情報の収集に主に1、2年生で地理や道徳の時間を活用。集めた情報の整理と分析は、全学年が国語や数学で実践する。情報のまとめや表現は国語や理科で、といった具合だ。国語科担当の萩田先生は今年、3年生の授業で社説を比較して読み、事実と主張を区別しながら論理の展開の仕方を学ばせた。「これからは学んだ知識を使って何ができるかが問われる。新聞は資料としての価値が高く、生徒が主体的に活用できるようにしたい」

 ただ、進路指導も担当するので司書の仕事に専念できるわけではない。磐田市では半日勤務の学校図書支援員を各校に派遣しており、同校では支援員に地球環境問題などテーマ別に記事をスクラップしてもらい、生徒の学習に活用している。

 文部科学省は学校図書館の役割の一つに「情報の収集、選択、活用能力を育成したりする情報センター」を掲げる。そのためには学校司書の充実が欠かせないが、改正学校図書館法でも2014年に学校司書の配置が自治体の努力義務として位置付けられたばかりで、地域差が大きい。全国の小中学校での配置状況は6割程度だ。

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◆調べ学習手助け

 三重県立図書館(津市)司書の宇城理沙さんは新聞切り抜き作品コンクールの優秀作品展に合わせ、関連する本のコーナーを毎年、館内に設けている=写真。「新聞活用に関する書籍を並べたり、テーマに沿った調べ学習用の資料や書籍を提示したりするのが司書の役目。学校でも教員と連携してほしい」とアドバイスする。

 「学校図書館における新聞の活用」(全国学校図書館協議会)の著者で、札幌市の元中学教員三上久代さんは、委員会活動で新聞記事を切り抜いて掲示物を作るよう提案する。「校内の生徒に伝えたいことや、学んだ教科に関する記事でもいい。一面の見出しを比べられるように、全国紙と地方紙を並べるだけでも勉強になります」と話す。

 (福沢英里)

 

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