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教育

「主体的な学び」に主眼 名古屋で国語教育全国大会

発表者の方に体を向けて話を聞く児童=名古屋市熱田区の大宝小で

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 これからの国語教育を考える「第48回全国小学校国語教育研究大会名古屋大会」が今月1日から2日間、名古屋市内で開かれ、全国の小中学校教員約700人が集まった。これまでの授業と変わり、目立ったのは、児童生徒が主体的に教材を読み込み学ぶための工夫。公開授業の一部を紹介する。

◆伝記から人生考える

 卒業まで四カ月余りに迫った名古屋市大宝小六年二組。これからの生き方を考えるきっかけにと、江戸時代に初めて実測日本地図を作った伊能忠敬の伝記を丁寧に読み、「よりよく生きるとはどういうことか」をグループごとに考えた。

 板書で、幼少期から晩年までの六つのエピソードと、忠敬の取った行動が並んだ。そこから子どもたちが、「やり抜く」「人を大切にする」「先を見通す」「諦めない」…と忠敬像を描く。担任の石元恵未先生が「悔いのない生涯となったのは、どんな生き方をしてきたからでしょうか」と話し合いの方向性を示した以外は終始、級友の発表に耳を傾ける形で進んだ。「好きだからできる」と思っていた人物像を、「好きだからやり抜くことができる」と深めた児童もいた。

 最後に、どんな思いを抱いたかを問われ、「自分の人生はこれから。今を大切に生きていきたい」「これまでもらった言葉を道しるべにしたい」など、「自分ごと」ととらえる姿が見られた。石元先生は「『自分の将来のために今、これからの生き方を考えるんだ』と真剣に自分と向き合う姿に成長を感じた」と満足そうに話した。

◆疑問追究、読み深める

 キツネの「ごん」が、村人の兵十(ひょうじゅう)へのいたずらを悔い、償いをしたものの気付かれず、兵十に撃たれてしまう−。物語「ごんぎつね」(新美南吉作)を教材に、名古屋市高蔵小四年一組は公開授業に臨んだ。担任の土田虎生輝(こうき)先生が「『なぜごんは撃たれたのか』を解決しよう」と「めあて」を読み上げると、すかさず子どもたちの手が挙がる。

中央に向かって机を並べ、児童はホワイトボードを掲げて発表=名古屋市熱田区の高蔵小で

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 「ごんは撃たれると思っていなかった。油断していたと思う」と自分の言葉での説明や、兵十の心情描写から「クリやマツタケが置いてあるのは神様の仕業で、『キツネがまたいたずらをしに来たな』と思ったから」という分析もある。

 土田先生は「ごんぎつねめ」とごんを敵視した兵十の呼称表現に注目。ごんがいつから、どのように態度を変えたのか。子どもたちはグループで話し合い、ホワイトボードに発言をメモしていった。

 これまでの授業では、五十の「なぜ」を子どもたちから集めた。一人一人が主体的に楽しく取り組めるだろうと考えたからだ。「なぜ」を追究する手だてとして、心情や行動の描写や人物像、呼称表現などにこだわって読む「読みの技能」を習得させてきた。

 翻って冒頭のめあて。兵十の言動に着目していた児童が、ごんの心情描写にも目を向けた。「撃たれるかもしれないと思うより、知ってほしいという気持ちが強くて中に入ったから撃たれた」などとまとめた。

 振り返りで「どういう気持ちで償おうとしたのか思いを知りたい」「ごんが残したものを考えたい」と、もっと知りたくなった子どもたち。土田先生は「友達との考え方の違いや共通点にも耳を傾け、物語を読む面白さに気付いてほしい」

◆言葉の力養う基盤に

 机は真ん中に向かって向き合うように並べ、発表を聞く時は体を発表者に向けて耳を傾ける−。2年後の新しい学習指導要領の完全実施をにらみ、教員が黒板の前に立って一方的に話をする従来の授業ではなく、どうしたら「主体的、対話的で深い学び」につながるのか。授業の改善に向け、学校現場が試行錯誤していることを感じさせる公開授業が目立った。

 名古屋市で国語の全国大会が開かれるのは12年ぶり。前回を知る名古屋大会実行委員長の斎藤照代・名古屋市弥富小校長は「かつては『この教材を使ってどう教えるか』を考えていたが、『この教材で子どもたちにどういう力を付けさせたいか』を教科の枠を超えて横断的に考えるようになった」と違いを指摘する。「社会に出て、学校で学んだことをどう生かすのかが問われる。言葉の力を養う国語はすべての基盤」と重要性を強調した。

 (福沢英里)

 

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