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教育

中高で広がる「解決型」授業 身近な問題を教材に議論

通学路の課題を解決するための橋の模型を作る生徒たち=愛知県犬山市の城東中で

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 中学校や高校を中心に、社会の具体的な問題の解決策を、子どもたちに考えさせる授業が広がっている。「問題解決型」「課題解決型」と呼ばれ、生徒の創造性を育み、多面的に考える機会になるよう期待が込められている。

 愛知県犬山市の城東中学校で五〜七月、二年生が自分たちの通学路の問題を探し、ものづくりで解決する課題に取り組んだ。技術家庭科の技術分野で「エネルギー変換に関する技術」を学ぶ時間だ。

 「朝、混雑する橋がある」「雨の後に自転車の操作がしにくくなる場所がある」。生徒たちは班ごとに問題点を出し、解決のための道具や道路の改善点を考えた。ある班は、橋の混雑対策に、自転車と歩行者の通行を分ける橋の改良を考えた。別の班は、ぬかるみで自転車を安定させるため、補助輪を上げ下げする装置を考えた。各班は模型などを作り、それを手にして、解決策を発表した。

 指導した小出邦博教諭は「一つの物が、チームで話し合い作られる。そうした社会のものづくりの流れを知り、エンジニアの考えが少しでも身に付けば」と話し、十時間にわたる学習を締めくくった。

 技術者教育を支援するジェームズダイソン財団が全面的に協力した。技術分野の中で創造性も育む試みで、同財団にとって全国で二校目の取り組み。小出教諭は「面白そうだと思った。問題を発見して、創造する力は、これからの社会で求められる」と、授業の実施を決めた理由を語る。生徒からは「考えることが楽しかった」「班で協力して一つの作品をつくり、達成感を味わえた」などの感想が寄せられた。

 問題解決を考える授業は一部の特別な試みではない。

 例えば「道徳」。文部科学省は教科化に伴い、読み物の主人公の心情理解を中心とする従来型の授業からの脱却を図り、指導法の一つとして「問題解決的な学習」を学習指導要領で示している。「特定の問題の解決策を皆で考え、異なる意見と向き合い、議論する中で、『公正』『親切』といった道徳的な価値を多面的に学ぶ」と同省の担当者は説明する。

 社会科で生徒たちに地域の特産品を使った商品開発に取り組ませる中学校や、独自の教育課程で、難民問題の解決策や地域の課題を考えさせる高校もある。

課題を抽出し、その解決策を考え、プレゼン用にまとめる高校生=名古屋市千種区の河合塾千種校で

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◆大学入試の変化に対応 予備校も全国で実施

 大学入試の変化を見据えた動きもある。大手予備校の河合塾は七〜九月上旬に、全国十二カ所で課題解決型の授業をした。名古屋市千種区の河合塾千種校で八月上旬にあった授業には、高校生二十六人が参加した。架空の老舗ホテルのホームページに寄せられた宿泊客の声などから、ホテルの課題を分析し、利用者の満足度を上げる方策を考えた。

 生徒たちは、ホテルの業務改善チームの一員として「情報発信が不足している」「外国人への配慮が足りない」などの課題を指摘し、グループごとに解決策を発表した。参加した一年生男子は「初対面の人と話し合い、いろいろ考えるのは、普段の授業と違って面白かった」と話した。

 河合塾は、これまでの社会では、決められたことを正確に行う力が求められていたが、人工知能(AI)が進化するこれからの社会では、新しい知を創造する力や周囲を巻き込む力が求められると分析。新しい学習指導要領が、知識に限らず、思考力や判断力、表現力、意欲、態度などを学校で育むとするのは、その表れという。大学入試でも、思考力など、汎用(はんよう)的な力を問う出題が増えるとみる。

 「課題解決型の授業では、問題を分析し、解決策を考え、表現する一連の流れの中で、入試でも問われる汎用的な力が鍛えられる」と同塾教育研究部。こうした授業は中学高校で今後増えていくとみている。

 (佐橋大)

 

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