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高校生・大学生

ゲームで体感「SDGs」 経済など考えるきっかけに

SDGsの17の目標

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 貧困の撲滅や環境保全など、国連が二〇三〇年までに実現を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」。教育現場でも、地球環境や経済の課題を考えるきっかけになり、キャリア教育にもつながるとして注目されている。名古屋市立北高校で行われたカードゲームを使った授業を取材した。

 参加したのは、国際理解コースの三年生二十八人。二人一組でチームになり、ゲームが始まった。「お金を集めなきゃ」「時間が欲しい!」−。

 ゲームでは、引いたカードにある「交通インフラの整備」や「フェアトレード商品の購入」などのプロジェクトを実行しながら、「大いなる富」「悠々自適」「環境保護の闘士」など、それぞれのゴール達成を目指す。

 プロジェクトの内容によってお金や時間のカードが増減し、経済や環境の指標も変化する。例えば、「お金」目的で「子どもを労働力として利用する」というプロジェクトを実施すると、社会の指標が低下する。全員の「場」である地球が壊れないように、プレーヤーはプロジェクトが及ぼす影響を考えながらゲームを進める。

 その過程で、持続可能性について意識を高めることがゲームの狙い。授業でも、各チームが「化石燃料の活用促進」などのプロジェクトを進めると、経済メーターは十七に上昇。だが一方で、環境メーターがゼロに。生徒たちは「やばい! 環境に貢献しなきゃ」と声を上げ、「環境対応商品の購入」などの環境に配慮したプロジェクトを実施して、環境メーターの数値を上げていった。

ゲームに参加し、熱を帯びた議論と交渉をする生徒たち=名古屋市北区の名古屋市立北高校で

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 ゲーム後の振り返りでは「最初は自分たちの目標を達成するために必死だったけど、後半は世界の状況に目を向けるようになり、みんなで話し合うようになった」などの感想が出た。

 山本明向さん(18)は「ゴールが富だったので、お金を集めることに集中した。進めていくうちに周りが見えるようになった。安い物はなぜこの値段なのか、値段の裏に何があるのか考えようと思った。安いものを買って満足するのは自分だけだなって」。

 担当の安藤理恵教諭は「自分から知ろうとする気持ち、立ち止まって考える姿勢が大事。学校で学んだことを生かして、自分たちがどのように行動するか。高校でSDGsを学ぶことは、生徒が自分の将来を考える上でも役に立つ」と話す。

       ◇

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 授業でファシリテーターを務めたのは、国連地域開発センター(名古屋市)の研究員、浦上奈々さん。「スナック菓子が地球温暖化?」と題し、一人一人の行動が世界規模の課題につながっている可能性があることを生徒たちに説明した。

 安いスナック菓子などに使われる植物油脂を例に挙げ、「植物油脂はアブラヤシから採れるパーム油などのこと。日本人はパーム油を一人当たり年間五キロ使っている。インドネシアではアブラヤシを育てるために森林伐採が続いている」と話した。

 「一つの問題を解決して世界が良くなるほど単純ではない。世界は複雑につながっている。SDGsの十七の目標もつながっている。気候変動など、私たちは被害者だと思っているところがあるが、日々の生活が遠因になってしまっているのではないか」

 生徒に地球の持続可能性について考えることを促した浦上さんは「ゲームでは、一人一人の行動が起点となり、私たちの世界がつくり出された。現実の世界でも、自分を起点としてできることがある」と呼び掛け、高校生でも起こせる行動を紹介した。

◆スタッフも環境問題議論

 地球の環境を守るために私たちにできることは何か。環境保護を訴えるスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)の行動が注目される中、七人の高校生スタッフが環境問題を話し合った。愛知県にある藤前干潟の保全から、家庭での節電まで、幅広い意見が交わされた。

 「折り畳み式のマイストローを持っている友達がいる」「ごみをきちんと捨ててもらうために、学校のごみ箱をバスケットボールのゴールに改良した」。スタッフたちは、自分や友達が取り組んでいることや、これから取り組みたいことを話し合った。

 三年生の棚橋実千瑠さん(18)は、将来住みたい環境にやさしい家を紹介=写真。ヘチマなどの植物でつくる「緑のカーテン」を取り入れるほか、「お風呂の残り湯を使い、家の壁に水を流して温度の上昇を抑える『アクアウォール』を取り入れたい」と話した。

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 ラムサール条約登録地の藤前干潟を見学した経験に触れたのは、一年生の田中温さん(16)。「オーストラリアやロシアから来る渡り鳥の中継地。干潟にいる生物が漂着ごみをのみ込んでしまうことがあると聞いた。そうならないように、普段から私たちがきちんとごみを分別することが大事だと思う」

 発表では「ペットボトルを減らすために、水筒を持ってきた人は安く飲み物が買えるようにする」(三年女子)、「テレビや部屋の電気をつけっぱなしにして寝るお父さんを注意する」(一年女子)など、地球環境を守るために何ができるかについて、意見を出し合った。

 環境問題と聞いて、「地球温暖化や砂漠化など大きな問題が頭に浮かんだ」と思いながら参加した一年生の林葵依さん(16)。議論の後、「身近なところでも改善できることはあると思った」と振り返った。

 (大沢悠)

 

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