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高校生・大学生

法学部教授招いて生物の授業 広がる「高大接続改革」

出生前診断に法律の話を絡めて授業を展開する大野教授(右)=岐阜県羽島市の羽島高校で

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 高大接続改革を背景に、高校の現場で生徒に「大学の学び」を意識してもらう取り組みが広がっている。大学や社会で、高校の学びがどのように生きるのかを知ってもらうことで、自発的な、より深い学びにつなげる狙いだ。

 岐阜県羽島市にある羽島高校の生物の授業。妊娠中に胎児の状態を調べる出生前診断について、生徒が考えを発表した。

 「子どもに障害があると分かって産まない場合、人を殺したことを一生抱えることになる」「おなかの中にいる段階で産まないという選択をしてはいけないのではないか」

 意見を聞いていた朝日大(同県瑞穂市)法学部の大野正博教授(49)は「発表は全て正解です」と口を開いた。

 「今までは『これが答えだ』と教えられてきたと思うが、これからは何か一つを正解とは言えない時代。さまざまな観点から答えが出てくる」。障害者らが不妊手術を強制された旧優生保護法などの話を織りまぜながら、立場や状況により「答え」が変わってくると伝えた。

 生物の授業では、染色体の構成を学ぶところから始まり、遺伝子の異常などについて生徒が調べ、最終的に出生前診断の是非をグループで考え、発表した。計十こまの授業で、この日、最後の一こまを大野教授が担当した。

 担当の和田喜孝教諭(60)は「出生前診断や人工中絶の話は生物の枠を超える。生徒たちがこの問題とどう向き合うのかを考えた時、法律の専門家に話してもらうのがいいと思った」と大野教授を招いた理由を話す。

 新井ミゲル佑平さん(18)は「普段の授業では『何でこんなことを学ぶのかな』と思っていたけど、大学の先生の話を聞いて、社会に出てからどう役に立つのかが分かった」と振り返った。

 文部科学省の二〇一六年度の調査によると、大学と連携した授業で単位を認めている高校は、愛知県で三十九校、岐阜県で四校、三重県で二校、静岡県で七校、長野県で一校、滋賀県で四校、富山県で二校となっている。

 名古屋西高校は十月、高校の説明会に集まった中学生に向け、大学教授らを招いたシンポジウムを初めて開催。名古屋大大学院教育発達科学研究科の坂本将暢准教授は、人工知能(AI)社会の到来を見据え、「AIがやってくれるから学ばなくていい、ではもったいない」と目標を持って学ぶことの大切さを訴えた。

 小塩卓哉校長(59)は「高校や大学で何を学び、社会でどう生きていくかを考えられる人になってほしい。中学生で早過ぎるということはない」と狙いを語る。

◆「生きる力」養う仕組みに

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 高大接続改革は、高校教育、大学教育、大学入試を一体的に改革し、学力の三要素を養い、「生きる力」をつける一貫した教育の仕組みをつくることを、目的としている。

 大学教授らでつくる高大接続システム改革会議が二〇一六年に出した最終報告では、「混とんとした状況の中に問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための資質や能力が重要」として、抜本的な教育改革を求めた。

 高校教育の改革の柱は、一八年の学習指導要領の改定や、本年度から導入された「高校生のための学びの基礎診断」など。新学習指導要領は、これまでの「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」になった点や、国語に「論理国語」や「文学国語」などの科目が新たに設けられた点などが大きな変化といえる。

 大学教育では、入学者受け入れ、教育課程の編成・実施、卒業認定・学位授与の三つの方針の一体的な策定などを求めている。

 入試改革は、二〇年度から、センター試験に代わる大学入学共通テストが導入される。しかし、改革の目玉とされていた英語民間検定試験は延期が決定。文部科学省は、国語の記述式問題の成績を二次試験に進む際の基準となる「二段階選抜」に使わないように全国の大学に要請することを検討している。

 (大沢悠)

 

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