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高校生・大学生

公平な採点、保てるか 大幅変更の大学入試

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 大学入試センター試験に代わり、二〇二〇年度に始まる大学入学共通テスト。目玉の一つだった英語の民間検定試験は導入延期が決まったが、共通テストは実施される予定だ。英語のスピーキングとライティングはなくなるが、国語と数学で記述式が加わるなど、変更は小さくない。大量の解答を短期間で公平に採点できるかという課題もある。

■試験時間が長く

 記述式は、国語と数学1、数学1・Aで導入される。知識だけでなく、思考力や判断力、表現力を評価するのが狙いだ。

 国語では、三つの小問で構成する大問一つが追加される。問題を作る大学入試センターは、小問のうち一題を八十〜百二十字で答えさせ、他の二題はそれ以下の文字数を上限に設定する方針。昨年の試行調査(プレテスト)では、「指差しが魔法のような力を発揮する」という比喩表現の意味を文脈から読み解いて説明させる問題などが出た。

 問題が増えるため、試験時間もセンター試験より二十分増えて百分になる。点数はマークシートで回答する部分が二百点満点で、記述の成績はA〜Eの五段階で評価される。

 数学1と数学1・Aも記述式は小問が三つ。問題数は大きく変わらない見通しだが、解答に要する時間を考慮して試験時間はセンター試験より十分長い七十分になる。国語と違い、記述の解答は点数化し、マークシート部分と合わせて百点満点になる。

 プレテストでは、階段の傾斜の角度を三三度、一段の高さを十八センチ以下にする場合に、足で踏む面の幅の範囲を示す不等式を求める問題などが出た。

■聴き取りを重視

 当初は民間試験と共通テストの両方で学力を測るはずだった英語。スピーキングが課される予定だった民間試験の導入見送りで、共通テストの試験のみが行われる。

 共通テストの英語試験は、センター試験と同じ全問マークシート方式だが、配点が変わる。センター試験は読解力や文法力などを問う二百点満点の筆記と五十点満点のリスニングで構成されるが、共通テストでは筆記(リーディング)とリスニングが各百点満点になり、リスニングの割合が大きく増える。

■出願決めづらく

今年の夏期講習で共通テスト対策講座を受ける高校2年生=名古屋市千種区の河合塾で

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 五十万人以上が受験する共通テスト。国公立大を受ける受験生は、結果を自己採点した上で、出願先を決める。しかし、記述の解答を自分で評価するのは難しく、自己採点が甘すぎると、実際は合格ラインに達するのが難しい大学に出願してしまう可能性もある。

 また、大学入試センターは採点をベネッセコーポレーションのグループ会社に委託する方針だが、「記述式の採点で質を保てるのか」と不安の声が漏れる。

 五日に開かれた衆院文部科学委員会に参考人として出席したベネッセ幹部はアルバイトの学生が採点する可能性を否定しなかった。

 翌六日の衆院予算委員会では、立憲民主党の川内博史氏が「記述式の採点を、短期間で質を担保しながら民間業者ができるのか。入試は模擬試験ではない。採点者に学生アルバイトも想定されるとベネッセが言っているが、文部科学省も同じ認識か」と追及。萩生田光一文科相は「さまざまな属性の方が含まれ得る」と容認する考えを示した。

◆「安全志向」は変わらず

 今の高校3年生らが受ける本年度実施の大学入試は、難関大を避けて手堅く合格を狙う「安全志向」と見込まれる。

 要因の一つは、浪人すると新方式の大学入学共通テストを受けることへの不安感。河合塾の調査では今春の時点で、早稲田大、慶応大、上智大など首都圏の偏差値上位の私立大で志望者減が目立った。

 英語民間試験の導入延期により、受験生の負担は減ることになる。しかし、共通テストは予定通り来年度から実施され、記述式に対応する必要があるため、河合塾の富沢弘和教育情報部長は「民間試験の延期によって難関大を避ける受験生の動向が極端に変わるとは考えにくい。やはり安全志向になるだろう」とみる。

 (諏訪慧)

 

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